明日の記憶

本を読んだ感想

荻原浩の小説。2005年には第2回本屋大賞の第2位にランクインし、第18回山本周五郎賞を受賞。更に、翌年渡辺謙主演で、映画化された傑作です。
「若年性アルツハイマー」と診断された広告代理店に勤める50歳営業部長・佐伯が病気と向き合う姿を描いた作品です。
病気の進行で、記憶が失われていく佐伯の不安や苦悩が生々しく描かれており、とても怖いです。物語は佐伯の一人称で進んでいくため、佐伯の立場に立って、病気を追体験しているような感覚に陥ります。確実に病気が進行していく様は、底知れぬ恐怖を感じます。
佐伯がアルツハイマーと診断されても、これまで通りの生活を続けようと強い意志を持っている姿がとても美しいです。佐伯が周りに病気のことを悟られないように、必死に大量のメモを作って仕事に取り組む姿勢がとても涙ぐましいです。それでも、進行する病気には抗えず、仕事に支障が生じていく描写がとてもつらいです。
アルツハイマーという現代においても完治する見込みがない恐ろしい病気を知るきっかけとなる一冊です。しかし、この作品に、暗さや悲壮感は感じません。それは、著者の柔らかいタッチの文章と、家族愛が溢れている点にあると思います。とても読み応えがある素晴らしい作品です。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:荻原 浩
定価:619円+税
ページ数:387ページ
発売年:2007年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年2月26日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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配送の方法 クリックポスト
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価格 ¥400