終末のフール

本を読んだ感想

八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた世界線。当初はパニックに陥った人々の暴走もあったが、落ち着きを取り戻した世界で、最後の3年を迎えた人々の生き様を描くという作品。
3年という限られた時間の中で、人々がどういう思考を持ち、どのように生きていくかを章ごとに、登場人物を変えた視点で描く短編集となっている。
どの章の登場人物にも、過去があり、信念があり、とても魅力的に描かれており、話に引き込まれる。各章ごとの構成となっているが、たまに章を超えて話が繋がることがあり、その点は大変おもしろい。
また、自動販売機のジュースを巡って人が死ぬなど、地球滅亡の混乱の描写として様々な事象が描かれているが、確かにこんなことが起きてもおかしくないなというリアリティがあることで、作品全体を通じてとても緊迫感がある。
「明日死ぬって言われたらどうする?」という問いに対して、この小説の登場人物が返した『明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生きかたなんですか?』という言葉が個人的にとても心に残っており、自らの生き方を自問するきっかけを与えてくれた。

本の説明

著者:伊坂 幸太郎
定価:629円+税
ページ数:384ページ
発売日:2009/6/26

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年1月9日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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