博士の愛した数式

本を読んだ感想

小川洋子による第1回本屋大賞受賞作品。映画も大ヒットしたベストセラー小説です。
80分しか記憶がもたない数学者の博士と、博士のもとに派遣された家政婦、その息子の3人が織りなす何気ない日常を描いた心温まる作品です。
家政婦の「私」の視点から描かれる物語は、大きな起伏はなく淡々と進んでいきます。3人の人間模様に焦点が当てられており、とても心穏やかに読み進めることが出来ます。一見偏屈に見えても愛情にあふれた博士と、同じ質問を繰り返す博士を傷つけまいと配慮を重ねる心優しき家政婦親子の交流がとても美しく描かれています。
そして、博士が数学をこよなく愛している点がこの物語を特徴づけており、面白いです。随所で博士が語る数学の話がとても良い。無機質でとっつきにくい数学でも、博士が話せば、とても愛着が沸いてきます。数学の好き嫌いを問わず、読者誰しもが数学の美しさに魅了されます。
博士が徐々に弱っていく中で、3人の関係がどういった結末を迎えるのか気になって、無我夢中でページをめくりました。とても、感動的で、印象的なラストには涙が止まりません。数学の世界を上手く織り交ぜた、愛にあふれた心温まる作品です。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:小川 洋子
定価:438円+税
ページ数:291ページ
発売年:2005年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年2月26日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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配送の方法 クリックポスト
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