プリンセス・トヨトミ

本を読んだ感想

万城目学の小説。”大阪が全停止した”から始まる本作は、そこから遡ること10日前の一見何の関わりがない二つの物語を描く形で展開していきます。
一つ目は、会計検査院の3人が大阪にある団体の検査に東京からやってくる物語、二つ目は、空堀中学校に通う幼馴染の大輔と茶子の物語。二つの物語が交錯するとき、長きにわたり閉ざされてきた大阪のとんでもない秘密が明らかになる。というお話。
大阪が停止するという奇想天外な設定ながら、史実を元にした知的な文章や、豊かな情景描写で、現実味を感じるのが凄い。著者の巧みな文章表現で、一気に小説の世界観に引き込まれます。登場人物が話す関西弁が心地よく、大阪という町が持つ情緒を感じながら、気持ちよく読めます。
登場人物達がとても魅力的です。会計検査院の3人はとても個性的で、彼らが織りなすやりとりは、コミカルで思わず笑ってしまいます。そして、大阪人の心意気に胸が熱くなります。親から子へと代々語り継がれていく大阪の秘密はとても感動的です。
とても痛快なエンターテインメント作品で、最初から最後まで楽しく読めます。物語の締め方もとても巧みで、読後の満足度がとても高いです。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:万城目 学
定価:714円+税
ページ数:554ページ
発売年:2011年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年3月1日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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配送の方法 クリックポスト
配送元の地域 東京都
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価格 ¥300