100万回の言い訳

本を読んだ感想

唯川恵の長編小説。結婚7年目に入った結子と士郎。二人に子供はいないが、仲が悪いわけではなく、極めて平凡で穏やかな暮らしをしている。しかし、何か物足りなさを感じている。
そんな折、二人の住居が水浸しになるトラブルに見舞われ、期せずして二人はしばらくの間、別々の生活をすることになる。独身に戻ったような生活を送る中で、夫婦とは一体何かという疑問が膨れ上がっていく。そして、二人はそれぞれ、関係性を持つ人と出会う。というお話。
物語は4人の登場人物の一人称が入れ替わりで描かれています。心理描写がとても上手で、夫婦関係に疑問を持つ心の揺らぎや不貞関係の後ろめたさがとても生々しく表現されていて、話に引き込まれます。
また、とても構成力の高さを感じる作品です。4人の視点が入れ替わりながら物語は進みますが、話の切り分けがとても上手いです。視点が入れ替わることで、混乱は全く生じず、むしろ話がどんどん面白くなっていきます。それぞれの話が、徐々に交錯していく展開に、ページをめくる手が止まらなかったです。
不貞行為を扱う作品でありながら、著者の軽いタッチでとても爽やかな作品に仕上がっています。文章も非常に読みやすいため、おすすめです。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:唯川 恵
定価:667円+税
ページ数:512ページ
発売年:2006年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年3月1日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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配送の方法 クリックポスト
配送元の地域 東京都
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価格 ¥300