殺人鬼フジコの衝動

本を読んだ感想

舞台、ドラマ化された真梨幸子のベストセラー小説です。
十数人を殺害した罪で死刑を宣告されたフジコ。彼女は一家惨殺事件の唯一の生き残りであった。小学5年生のときに、叔母に引き取られたフジコが何故殺人鬼となってしまったのか、その過去を辿る物語です。
とにかくフジコの生い立ちが不幸で、読んでいて辛いです。虐待にいじめ、周囲の人々に恵まれない環境があまりに残酷です。そんな環境に瀕し、フジコの中に潜む狂気が徐々に表面化していき破滅へと向かっていく描写が、とても哀しいです。変わりゆくフジコの描写がとても精緻で、恐怖心を感じながらも、ページをめくる手が止まらなかったです。
そんな背景もあってか、次々と殺人を犯すフジコに少しばかり共感し、同情してしまいます。殺人の描写もそこまでグロテスクではなく、比較的さらっとしているため、軽い気持ちでスラスラと読めます。
物語の語り口は、一人称と三人称が交錯し、不思議な感覚を帯びながら進んでいく物語ですが、ラストに仕掛けられたトリックには思わず唸ります。その瞬間、体中をぞくっとする恐怖心が襲います。とても構成が巧みで、最後まで気が抜けない良質な作品です。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:真梨 幸子
定価:648円+税
ページ数:429ページ
発売年:2011年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年3月1日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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配送の方法 クリックポスト
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