重力ピエロ

本を読んだ感想

伊坂幸太郎による小説作品、これを原作とした2009年には映画が公開されている。
仙台の街で起こる連続放火事件。現場の近くには必ず奇妙なグラフィティアート(落書き)が描かれている。過去に辛い記憶を抱える泉水と春の二人の兄弟は、事件に興味を持ち謎解きに乗り出すのだが、徐々に放火と遺伝子とのリンクが明らかになっていくというあらすじ。
「春が二階から落ちてきた」と言う印象的なフレーズで始まる当作品は、謎の連続放火事件とグラビティアートを巡る謎解きの部分と、春の出自や家族というものに関わる部分が大きなテーマとなって物語が展開していく。
扱っているテーマは重苦しいのだが、軽妙な語り口で物語は進行していくため、その重さを感じさせない。遺伝子的には父親が異なる泉水と春であるが、家族の絆は強く、それぞれのキャラクターが非常に立っている点も大変おもしろい。
遺伝子だけの繋がりではない家族の繋がりというものについて考えさせられる。遺伝子を超えた家族愛や絆がテーマだと感じられるが、遺伝子や重力にも逆らい、家族愛で困難を乗り越える様はとても感動的。個人的には「楽しそうに生きていれば、重力なんて消してしまえるんだよ」という父親のフレーズがとても印象的に心に残っている。

本の説明

著者:伊坂幸太郎
定価:629円+税
ページ数:485ページ
発売日:2006/6/28

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年1月9日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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配送の方法 クリックポスト
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