海の見える理髪店

本を読んだ感想

2016年上半期の直木賞受賞作品である荻原浩による連作短編集。表題作含む、全6作の物語が収められています。NHKでテレビドラマ化もされた大ヒット作品です。
様々な家族のあり方を描いた短編集です。登場人物はそれぞれ、家族に関する喪失感や悩みを抱えていますが、その現実と向き合って前向きに懸命に生きていこうとする心温まる作品です。
重いテーマを扱った話もありますが、悲壮感は感じません。それは、著者の軽く軽妙な文体がとても暖かさで溢れており、また、希望が見えるラストを迎える点にあると思います。読後はとても爽やかで、生きる勇気を貰える作品です。
6話の中でも、やはり表題作が印象的です。年老いた店主が海辺で営む小さな理髪店。以前は、有名俳優や政財界の大物も通いつめたと言われる伝説の理髪店。ある時、一人の男が予約を入れ、店を訪ねてくる。その男はある思いを抱えていた。ーというお話。
物語は店を訪ねてくる男の視点で進み、店主とのやり取りで話が構成されています。店主から語られる波瀾万丈な人生が切なく、話に引き込まれる。鮮やかな情景描写で、海や理髪店の雰囲気に浸りながら心地よく読み進めることが出来ます。そして、意外な展開を展開を見せ始めるストーリー。最後には、胸が熱くなる感動が待っています。

本の説明

著者:荻原 浩
定価:580円+税
ページ数:272ページ
発売年:2019年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年3月6日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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配送の方法 クリックポスト
配送元の地域 東京都
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価格 ¥300