杖下に死す

本を読んだ感想

北方 謙三の歴史小説。大塩平八郎の乱を光武利之という架空の人物を主人公に据え、第三者的視点から描いた作品です。
時は江戸時代の天保。米不足が深刻化し、世情が不安定な大坂で、江戸からやってきた光武利之は縁あって一人の男と出会う。大塩平八郎の養子・格之助。二人は気が合い、互いを友として認め合う。
飢饉に苦しむ、庶民を尻目に、私欲を肥やす役人。対して、救民を掲げ、決起を画策する大塩一派。大きくうねりだした時代の渦は、二人を飲み込んでいく。ーというお話。
物語は基本的に利之の視点から描かれています。時代の傍観者としての位置づけで、落ち着いた語り口で、冷静に物事を捉えているため、とても読みやすいです。大塩平八郎の乱が決起に至るまでの過程が、心理描写を交えながら丁寧に描かれていて、とても分かりやすいです。当時の大坂の風情や空気感、きな臭い緊張感等が文面からひしひしと伝わってきて、話に引き込まれます。
なんと言っても、利之と格之助の友情が美しいです。時代に翻弄されながらも、固く結ばれた二人の友情に思わず涙があふれてきます。歴史的出来事である大塩平八郎の乱に対して、新たな認識を与えてくれる良書です。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:北方 謙三
定価:629円+税
ページ数:492ページ
発売年:2006年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年3月19日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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配送の方法 クリックポスト
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