独り群せず

本を読んだ感想

北方 謙三の歴史小説。大塩平八郎の乱を描いた『杖下に死す』の続編に当たる作品です。前作を読んだことを前提に描かれている箇所もあるため、可能であれば前作に続けて読んで欲しい一冊です。
前作に引き続き、光武利之という架空の人物を主人公に据え、大塩の乱から20数年後の幕末の大坂を舞台とした作品です。
既に武士としての第一線を退き、料理人としての道を生きる利之。お店を開きながら、孫に料理の技術を教えつつ、過ぎ去っていく穏やかな日々。しかし、時は幕末。時代の大きなうねりが大坂にも押し寄せており、利之のもとにもその影が確実に忍び寄っていた。ーというお話。
利之の生きざまがかっこいいです。戦乱の渦に巻き込まれながらも、自らの宿命と向き合い、その卓越した剣の技術を発揮し、武士としての誇り高き矜持を貫き通す姿に胸を打たれます。また、利之以外の登場人物も、それぞれの生きざまを貫く魅力的な人物ばかりでとても良いです。
多彩な情景描写により、幕末の動乱が文面から伝わってきて、緊張感が凄いです。時代背景もとても丁寧に描かれており、かつ、新撰組といった史実に沿った人物も登場するため、とてもリアリティがあり、ハラハラドキドキしながら楽しく読めます。とても完成度の高い歴史小説です。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:北方 謙三
定価:667円+税
ページ数:472ページ
発売年:2010年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年3月19日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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配送の方法 クリックポスト
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価格 ¥300