ほかならぬ人へ

本を読んだ感想

第142回直木賞を受賞した白石一文の恋愛小説。「ほかならぬ人へ」と「かけがえのない人へ」の2作品が収録されています。
どちらの話も既にパートナーと呼べる存在がいる人を主人公に据え、遠回りをし、自問自答をしながら、真実の愛を手に入れる過程を描いた作品です。
主人公の葛藤を、比較的淡々と過ぎていく日常に落とし込んで描いており、とても生々しさを感じる作品です。決してフィクションとは思えない、実在する人物の生き方を覗いているかのような感覚で、スラスラと読めます。
紆余曲折しながら、真実の愛に気づいていく過程がとても面白いです。とても現実味がある地に足が着いたストーリー展開のため、大きな展開はないけれども、確実に移り変わっていく場面展開に翻弄されます。次はどんな展開が待っているのか、先が気になって仕方がなかったです。話の結び方も、ビターで味わいがあってとても良いです。時折、胸に突き刺さってくるような言葉も詰まっていて、とても奥が深い作品です。
翻って、自分にとってのベストの人とはどんな人なのかとても考えさせられる作品です。自らの生き方に一石を投じるようなテーマを有しており、直木受賞作に値する良質な作品です。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:白石 一文
定価:619円+税
ページ数:318ページ
発売年:2013年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年3月19日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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配送の方法 クリックポスト
配送元の地域 東京都
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価格 ¥300