今夜、すべてのバーで

本を読んだ感想

アルコール依存症を題材にした中島らもの代表作。吉川英治文学新人賞に輝いた一冊です。
主人公は、医者の忠告にも関わらず、酒を断てず緊急入院することになった小島。物語は、個性的な入院患者、スパルタな医者など入院中の主人公を取り巻く様々な人々との交流を小島の一人称で描いた入院記録です。
著者自身の実体験をベースにして描かれており、アルコール中毒患者の描写や医者とのやり取りが生々しい。アルコールの恐ろしさに何度もぞっとしながら、ページをめくる手が止まらなかったです。また、情景描写がとても上手く、美しい景色やお酒の香りが文面から浮かび上がってくるような心地よさがあります。
アルコール依存症という重いテーマを扱っていながら、随所に渡って、主人公とキャラの濃い登場人物とのやり取りが、軽妙でユーモラスに描かれているため、とても読みやすいです。ユーモアに溢れていながら、怖さを感じる展開や感動する展開も入り混じっており、とても内容に厚みがある作品です。
アルコール依存症に関する知識も存分に含まれており、とても勉強になる一面もあります。専門的な用語も、分かりやすく砕いて説明が付されるため、苦にならずスラスラと読めます。

本の説明

著者:中島 らも
定価:740円+税
ページ数:368ページ
発売年:2020年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年3月19日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
配送料の負担 送料込み(出品者負担)
配送の方法 クリックポスト
配送元の地域 東京都
配送までの日数 2~3日で発送
価格 ¥500