蜩ノ記
本を読んだ感想
葉室麟の時代小説。第146回直木三十五賞受賞作にして、映画化もされた傑作です。
豊後羽根藩の檀野庄三郎は、些細なことで城内で刃傷騒ぎを起こし、家譜編纂と10年後の切腹を言い渡されている戸田秋谷の元へ見張り役として派遣される。庄三郎は、編纂作業の補助と監視を続ける日々の中で、清廉に過ごす秋谷の姿に触れ、次第に秋谷が切腹を命じられるほどの悪事を働く人物ではないことを確信し、秋谷を救う決意をする。というお話。
理不尽な切腹を命じられても、清らかな武士として生きざまを貫く秋谷の姿に心を揺さぶられます。様々なものを守るために、その責任を一手に背負い、潔く命をささげる秋谷に涙が止まりません。
10年前の事件の真相や秋谷は何故死を受け入れるのかが徐々に明らかになる展開からは目が離せません。家譜編纂を通じて、全体像が徐々に見えてくる構成がとても上手い。そして、終盤に進むにつれ、加速していく怒涛の展開は、とてつもなく面白いです。
また、情景描写がとても巧みで、舞台である江戸時代の風景が頭の中に自然と浮かび上がってきます。とても鮮やかな季節の移ろいは、同時に秋谷に残された時間が少なくなっていることを意味し、切なさを感じます。直木賞に値するとても良質な作品です。ぜひ読んでみて下さい。
本の説明
著者:葉室 麟
定価:686円+税
ページ数:416ページ
発売年:2013年
本の情報
出品者 | takahashi |
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出品日 | 2023年3月27日 |
カテゴリー | 文芸 / 小説 |
本の状態 | 目立った傷や汚れなし |
配送料の負担 | 送料込み(出品者負担) |
配送の方法 | クリックポスト |
配送元の地域 | 東京都 |
配送までの日数 | 2~3日で発送 |
価格 | ¥300 |