握る男

本を読んだ感想

物語は昭和56年に、両国の鮨屋に弟子入りした徳武光一郎(ゲソ)が、鮨屋の乗っ取りに成功し、やがて外食業界自体をも、自らの手中に収めようとのし上がっていく現在に至るまでの姿を追った波瀾万丈のストーリーです。
鮨屋の兄弟子で、早くからゲソの野心的な才覚に惚れ込み、傍で仕えていた金森の視点から物語は描かれてます。
とにかく、野望に取りつかれたゲソがのし上がっていく様が圧巻で、面白い。テンポよく話が展開していくため、途中で飽きる箇所がないです。また、ただ成功への道筋を描いているのではなく、様々な波瀾万丈が描かれており、各年代の時代背景も現実に沿って描かれているため、とても現実味を帯びているストーリーで惹きつけられます。
成り上がる為には手段を選ばず、使える人間との人脈を築いていき、用済みの人間は切り捨てていく露骨なまでに計算高いゲソの姿に恐ろしさを感じながら、物語はどこに向かっていくのか、どういう結末を迎えるのか、気になってページをめくる手が止まらなかったです。
そして、意外な方向へと転がっていく物語。話全体として綺麗にまとまっており、大変満足度が高いです。読み始めたら、最後まで一気に読んでしまう魅力に溢れた良作です。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:原 宏一
定価:760円+税
ページ数:435ページ
発売年:2015年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年3月27日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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配送の方法 クリックポスト
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