パレード

本を読んだ感想

吉田修一による小説。5人の若者達のルームシェアを舞台に、5人それぞれの視点をリレーしながら、彼らの日常が描かれた作品です。
物語は大きな起伏があるわけではなく、比較的単調に進み、何気ない日常の出来事を5人それぞれの視点から描いていくスタイルです。今どきの等身大の若者5人がしっかりと書き分けられており、登場人物間のやり取りが軽妙で心地良いため、特に展開がなくても面白く読めます。
同じ人物や事象でも、視点が変わると違った見え方で描かれており、複数の視点を通して、一つの人物像や事実関係が形成されていく構成がとても巧みで、話に引き込まれます。視点が変わるたびに、この人からは世界がどう映っているのか気になってワクワクしながら読み進めました。
そして、この物語の肝となるところは、5人が居心地のいいルームシェアの空間を守るため、お互いに踏み込みすぎないという暗黙の了解があるところです。表面上は仲良くしますが、都合の悪いところには触れないという関係性があります。
その結果、物語は徐々に不気味な展開へとシフトしていきます。何気ない日常が描かれているだけでも、十分面白いのですが、この展開は更に面白いです。軽い気持ちでさらっと読める本です。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:吉田 修一
定価:533円+税
ページ数:309ページ
発売年:2004年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年4月20日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
配送料の負担 送料込み(出品者負担)
配送の方法 クリックポスト
配送元の地域 東京都
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価格 ¥300