彼女は存在しない

本を読んだ感想

多重人格を題材とした浦賀 和宏のミステリー小説。
平凡だが幸せな生活を過ごしていた香奈子の日常は、恋人・貴治がある日突然、何者かに殺されたのを契機に狂い始める。一方、同じころ根本は妹の亜矢子の度重なる異常行動を目撃し、多重人格の疑いを強めていた。というお話。
物語は香奈子と根本の2人の視点か交互に入れ替わりながら進んでいきます。凄惨な事件が頻発する中で、徐々に二人が近づいていき交錯していく過程がとても面白いです。ワクワクしながら読み進めました。
また、ミステリーとしてとても本格的で、様々なトリックが仕掛けられています。文中のヒントを頼りに、先を予想しながら読んでいても何度も裏切られますし、綺麗に伏線を回収しながら、たどり着くラストは思わず声が出てしまうほどの衝撃があります。終盤にかけて、一気に加速していく展開は圧巻で、ページをめくる手が止まらなかったです。
ミステリーのみならず、青春小説的な要素もあり、奥が深い小説です。多重人格という難しい題材を上手に巧みに扱っていて、構成力の高さを感じため、容易に状況を整理しながら混乱することなくスラスラと読める楽しさがあります。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:浦賀 和宏
定価:686円+税
ページ数:446ページ
発売年:2003年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年4月20日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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配送の方法 クリックポスト
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価格 ¥300