辞令

本を読んだ感想

大手メーカーの宣伝部副部長・広岡修平に、突然、左遷辞令が下る。異動先は「人事部付」。有能で人柄も良く、大きなミスもせずに社内の出世レースのトップを走っていた広岡に、左遷される節は思い当たらない。
理不尽な人事にいらだつ広岡は自ら調査に乗り出す。そして、辞令の裏には色々な人の思惑が複雑に絡み合っていて、ファミリー企業ならではの腐敗っぷりが明らかになっていく。ーという話。
広岡を罠に陥れた人物が誰なのか探っていく展開がとても面白い。そして、そこからの広岡の巻き返しの展開も面白く、どんどん話に引き込まれました。
また、理不尽な人事に不満を抱えつつも、それでも与えられた境遇で最高の結果を出そうとする広岡の姿にはとても胸を打たれ、どんどん広岡に感情移入してしまいます。
社内抗争の描写が面白く、誰かを妬んだり嫉んだり裏切ったりする人間模様が妙にリアリティで溢れています。1988年の刊行で、かなり古い作品ではあるが、古びた印象がないのは、そういった人間臭さはどの時代も不変だからなんだろうなと思いました。
確かに、携帯電話がないといった時代を感じさせる描写はありますが、読みづらさは感じなかったです。今で言うと、組織の腐敗を描いているという点で、半沢直樹に近いのかなと思います。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:高杉良
定価:850円+税
ページ数:415ページ
発売年:1998年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年1月15日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 やや傷や汚れあり
配送料の負担 送料込み(出品者負担)
配送の方法 クリックポスト
配送元の地域 東京都
配送までの日数 2~3日で発送
価格 ¥300