Nのために

本を読んだ感想

湊かなえの推理小説。超高層マンションの一室で、そこに住む野口夫妻の変死体が発見された。現場に居合わせたのは、20代の4人の男女。それぞれの証言は驚くべき真実を明らかにしていく。一体なぜ夫婦は死んだのか、Nとは誰なのか。
各章で、語り手が入れ替わり、それぞれの登場人物の視点から事件を辿っていく形で物語は進んでいく。また、時系列も過去と現在をいったりきたりするため、かなり複雑な構成となっているが、話自体が面白いので、読みづらさはあまり感じずスラスラと読み進めることが出来ました。
それぞれが全くバラバラの話をしているようでも、話が進むにつれて、パズルのピースのごとく一つに収斂していく過程は読んでいてワクワクしました。伏線の回収も鮮やかで、とても気持ちがいいです。
本作は、単純なミステリー小説ではなく、純愛ミステリーであり、登場人物それぞれが抱く純愛が、事件を歪なものにしています。その純愛の描き方がとても巧みで、もどかしく切ない気持ちにさせます。
そして、その純愛が全く共感できないものではないからこそ、心を揺さぶられるのだと思う。読了後、色んな愛があるんだなーと考えさせられる作品です。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:湊 かなえ
定価:630円+税
ページ数:328ページ
発売年:2014年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年1月15日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 やや傷や汚れあり
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