落日燃ゆ

本を読んだ感想

城山三郎の名作。東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元首相・広田弘毅の生涯を描いた物語です。
広田は首相や外務大臣として、国の行く末を憂い、戦争回避のために、ありとあらゆる努力を積み重ねた人でした。そのため、軍部の暴走を抑制しようと努めましたが、それでも時代の大きな渦には逆らえず、戦後A級戦犯として死刑判決を受けてしまいます。なぜ広田は死刑判決を受けなければならなかったのか、激動の昭和史とともに広田の生涯を辿った作品です。
本作では、日本が満州事変を機に、中国と戦争を始め、そこから日米開戦へと向かっていく過程が克明に描かれており、当時の緊張感がひしひしと伝わってきます。軍部が徐々に抑えきれなくなり、暴走していく過程は恐怖すら覚えるほど臨場感があります。
軍の暴走に手が負えない中、火中の栗を拾って首相指名を受け、軍部の横暴に振り回されながらも、必死に和平の道を探っていこうと職務を全うする広田の姿には胸を打たれます。
死ぬまで誠実な生き方を貫いた広田の生涯を追うことで、今一度太平洋戦争とは何だったのかを考えてみるいい機会になると思います。ぜひ読んでみて下さい。おススメです。

本の説明

著者:城山三郎
定価:629円+税
ページ数:462ページ
発売日:1986年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年1月29日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 やや傷や汚れあり
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