望み 

本を読んだ感想

雫井脩介のベストセラー長編小説。2019年に文庫化され、2020年には堤幸彦監督、堤真一主演で映画が公開されている。
少年の遺体が発見され、やがて家に帰らず行方不明となっている息子の事件への関与が疑われる。息子はまだ生きており加害者なのか、それとも既に死んでおり被害者なのかー事件の真相が明らかになるまでの家族の葛藤とあり方を描いている。
加害者のはずがないと息子の無実を信じる父親と加害者でもいいから生きて帰ってきてほしいと願う母親。それまで穏やかだった一家の気持ちは決して一つにならず、二人の望みは交錯するが、どちらの望みの先にも希望がない未来が待っており、胸が締め付けられる気持ちになる。
ミステリ要素はほとんどなく、夫婦間の葛藤を中心に描いており、人間の心理描写が繊細に表現されている。周囲の偏見やマスコミの過剰放送といった現実に晒されながら、小出しに出てくる情報に翻弄される家族は、読んでいてあまりに辛く苦しい気持ちになる。
始まりから終わりまで、重い話ではあるが、家族愛や感動する展開もあり、夫婦どちらの主張も理解できるから、色々と考えさせられる。読了後は、平凡に家族で暮らしている幸せをより一層実感できる。

本の説明

中古で購入したものですが、かなり状態はいいと思います。

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年1月9日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 やや傷や汚れあり
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配送の方法 クリックポスト
配送元の地域 東京都
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価格 ¥300