夢を売る男

本を読んだ感想

「永遠の0」の作者としても有名な百田尚樹氏の小説。
本の出版を夢見る人たちをそそのかし巧みに取り込み、高額な出版費用を出させて利ざやを稼ぐ自費出版という独自のビジネスを推し進める出版社の敏腕編集長・牛河原のお話です。
苦境で苦しむ出版業界の裏側を、皮肉をこめつつ、ユーモラスに描いている。軽妙な語り口でストーリーが展開されるため、小気味よく読み進めることができ、大変面白い作品です。また、出版業界を皮肉りつつも、熱いメッセージを込めている点もこの作品が面白いと思える要因の一つのように思える。
主人公の牛河原のキャラクターがとても立っていておもしろい。人間の欲に漬け込むため、序盤こそ多少の嫌悪感はあったものの、牛河原の人心掌握術、ビジネストークのうまさ、確たる矜持を見せつけられるうちに、読み終わるころには牛河原の人間性に惹かれており、いい人なのかもなとも思えてくる。
短編集のような形で章ごとに語り手の視点が切り替わるが、どの人物も立場や境遇こそ違えど、虚栄心に取りつかれているという点では共通しており、牛河原によって、その内なる虚栄心をくすぐられ、人間の欲がむき出しになっていくという展開が大変面白い。読んでいる自分でさえ、本が書けて売れるのではとさえ思ってします。

本の説明

著者:百田尚樹
定価:650円+税
本の長さ:315P
発売日:2015/4/3
補足:中古で購入したものなので、経年劣化はありますが、大きな汚れ傷はありません。

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年1月9日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
配送料の負担 送料込み(出品者負担)
配送の方法 クリックポスト
配送元の地域 東京都
配送までの日数 2~3日で発送
価格 ¥300