カカシの夏休み

本を読んだ感想

重松清による小説集。表題になっている『カカシの夏休み』のほか、『ライオン先生』、『未来』の中篇3作が含まれております。
3つの物語はそれぞれ、「帰りたい場所」「歳をとること」「死」をテーマに据え、3人の主人公の生き方を描いた作品となっております。主人公は皆、それぞれに辛い事情や問題を抱えており、その現実にどう向き合うか葛藤する姿が描かれています。
物語は、誰の身に起こってもおかしくないような日常を描いた作品です。そのため、劇的な展開やアッと驚く結末はなく、淡々と日常が過ぎていきます。それでも、主人公の葛藤がとても繊細に描かれていて、共感できるため点が多いため、話に引き込まれます。
そして、決して、ハッピーエンドとは言えないけれども、希望が持てる終わり方を迎えるのがとても素敵です。決して、楽な人生ではないけれども、前を向いて進んでいく主人公の姿に胸を打たれます。
『カカシの夏休み』と『ライオン先生』は中年にさしかかる30代後半から40代の男性を主人公に据えた作品となっております。そのため、特に同世代には刺さる作品ではないかと思います。読了後は、前向きな気持ちになれる作品です。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:重松 清
定価:720円+税
ページ数:329ページ
発売年:2003年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年2月9日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 目立った傷や汚れなし
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配送の方法 クリックポスト
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価格 ¥300