その日のまえに

本を読んだ感想

重松清による短編小説集。表題作を含む全7話の短編が収められております。映画化やドラマ化もされたベストセラー小説です。
表題の「その日」とは死の日のこと。余命宣告により死が間近に迫ってきたとき、自分の死、家族の死、友人の死に対してどう向き合っていくかを様々な人物の視点から描いた作品です。
死に向きあった各登場人物の心理描写がとても丁寧に描かれており、それぞれの人物に感情移入してしまいます。死をどう捉え、どう行動するかが人によって違うけれども、その背景がしっかりと描かれており、とても共感出来ます。
短編集でありながら、それぞれのストーリーが少しずつ繋がってくる展開は流石の構成力だと感じます。文章もスッと頭に入ってきてとても読みやすいです。
「死」という重いテーマを扱った作品でありながら、読後感は良く、悲壮感はありません。それは、登場人物が死に直面し、悲しみや苦しみを抱くけれども、自分の中で自分なりに昇華し、死を前向きに捉えている点にあると思います。読んでいて、辛く涙が溢れてくる作品ではありますが、優しさや温かみも感じる素敵な作品です。死は必ずやって来るからこそ、今日という日を必死に生きようと思わせてくれます。ぜひ読んでみて下さい。

本の説明

著者:重松 清
定価:581円+税
ページ数:365ページ
発売年:2008年

本の情報

出品者 takahashi
出品日 2023年2月18日
カテゴリー 文芸 / 小説
本の状態 やや傷や汚れあり
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