特集百田尚樹のおすすめ小説10選 世間を賑わした話題作を多数紹介します
衝撃のデビュー作『永遠の0』を始め、数多くのヒット作を生み出してきた大人気作家・百田尚樹。
異色な作品が、大きな話題を呼ぶことも多いです。
そこで今回は、百田尚樹の作品をまだ読んだことがない初心者の方向けに、独自におすすめの小説を厳選しランキング形式でまとめてみました。
どれも人気の作品でとても面白いので、ぜひ読んでみて下さい。
『百田尚樹』 とは
経歴や受賞歴
1956年大阪府出身の百田尚樹は、同志社大学を中退後、放送作家となり、『探偵!ナイトスクープ』のチーフライターを25年以上に渡り務めます。
その後、2006年に『永遠の0』を発表し小説家としてデビューします。
同作は、映画化もされ大ベストセラーとなりました。
2009年には『BOX!』が第30回吉川英治文学新人賞候補となり映画化。2013年には『海賊とよばれた男』で本屋大賞を受賞しています。
作品の特徴や魅力
百田尚樹作品は、読めば読むほどのめり込んでいく巧みなストーリー展開が魅力です。
徐々に浮かび上がってくる人物像や明らかになっていく謎など、読者は好奇心をくすぐられ、先が読みたくなります。
『永遠の0』や『海賊とよばれた男』など、日本の歴史を踏まえた作品が多いことも特徴の一つです。
圧倒的な取材量に基づいた作品が多いため、重厚で読みごたえがあります。
おすすめ小説 10選
永遠の0
- 特攻隊のリアルを描いた感動小説
- 特攻隊として死んだ祖父の生き様に涙があふれてくる
- 命の重さを感じる重厚な作品
特攻隊のリアルを描いた感動小説。漫画・映画・テレビドラマなど各媒体で映像化された大ベストセラー作品です。
特攻隊として死んだ祖父・宮部久蔵のことを知るべく調査を始めた姉弟が、戦争を生き抜いた久蔵の戦友を訪ね歩き、話を聞いて回ります。しかし、行く先々で耳にするのは、臆病者と評される久蔵の姿。姉弟は戸惑いますが、様々な生き証人の話を聞くにつれて、久蔵の真の姿が明らかになっていくのでした。
様々な人物の証言を通じて久蔵の真の人物像が作り上げられていく構成がとても面白いです。そして、久蔵の真の生き様を知ったとき、涙があふれてきます。
また、フィクションではありますが、時代背景は史実に沿って描かれており、太平洋戦争というものの悲惨さ・過酷さを改めて痛感する作品です。当時の軍人の考え方・日本の雰囲気・戦場での実情等が緻密に再現されており、太平洋戦争を追体験しているようなリアルさがあります。
命の重さを感じる重厚な作品で、戦争を知らない今を生きる人達にぜひ読んで頂きたい一冊です。
海賊とよばれた男
- 出光興産創業者をモデルにした歴史小説
- 社員を守るため奮闘する主人公の姿が胸を打つ
- 戦後復興の凄まじいエネルギーを感じる
出光興産創業者の出光佐三をモデルにした歴史小説。本屋大賞を受賞し、映画化もされた大ベストセラー作品です。
1945年、日本は敗戦し、GHQの占領政策の一環として、日本で石油が出回らなくなってしまいます。
そのため、石油会社『国岡商店』は取り扱う商品を失い、社員たちは明日をも知れぬ現実に、絶望に打ちひしがれてしまいます。
しかし、『国岡商店』の店主・国岡鐵造は誰一人解雇せず会社を再興することを誓うのでした。
敗戦の混乱の中、次々と降りかかる困難に対して、社員のために尽くす姿勢を貫き、奮闘する鐵造の姿が胸を打ちます。信念が周囲を突き動かし、大きな結果を生む展開が圧巻でとても感動的です。無駄を感じさせない展開でストーリーは進んでいくため、どんどん小説にのめり込んでいきます。
日本が戦後の焼野原から立ち直り、世界有数の経済立国に至るまでの先人の凄まじいエネルギーを感じることができ、自分が奮い立つ一冊です。
モンスター
- 美容整形を繰り返す女の悲哀を描いた作品
- 復讐劇が爽快
- 余韻が残るラストが印象的
美容整形を繰り返す女の悲哀を描いた作品。映画化もされたベストセラー小説です。
瀬戸内海に面した町で生まれた和子は、醜い外見から、友達はおろか母親にまで「ブス」と罵られながら育ってきました。
やがて、誰からも愛情を注がれないのは全て醜い外見のせいだと考えた和子は、地元を離れ東京に移り住んで以降、風俗で稼ぎながら次々と整形を繰り返し、自分の理想の顔をつくりあげていきます。
そして、誰もが羨む美貌を手に入れた和子は、ある思いを胸に再び地元へと戻っていきます。
かつて、自分を馬鹿にしていた人達に和子が復讐を果たすドロドロとした展開が面白いです。
和子が虐げられる場面が余りにも可哀想なため、復讐劇はとても爽快感が得られます。外見が全てではないけれども、いかに外見が大切かを痛感します。
また、美醜に囚われた女の底知れぬ執念を感じる作品です。読めば読むほど、切なさで胸が締め付けられますが、余韻が残るラストがとても印象的です。ぜひ読んでみて下さい。
日本国紀
- 『日本通史の決定版』と銘打たれた作品
- 新しい角度から歴史の一面を知ることが出来る
- 歴史が一本の物語になっていて読みやすい
縄文時代から平成時代までの『日本通史の決定版』と銘打たれた作品。百田氏が歴史の各分野のプロを監修者として、深い議論を経て生み出された作品です。
発売前から大きな反響を呼び、延べ100万部を超える大ベストセラー小説となっています。
学校の授業では教わらない新しい角度から歴史の一面を知ることが出来る一冊です。表面的な部分だけではなく、歴史的背景や因果関係など事細かに説明が綴られているため、大変満足度が高いです。新たな歴史観に触れ、とても勉強にもなります。
百田氏が綴る美しい文章で、歴史が時系列に沿って一本の物語になっているため、とても読みやすいです。随所にコラムと題して、興味深い余談話も織り込まれており、最後まで飽きずに楽しく読むことが出来ます。
野良犬の値段
- 誘拐事件を題材とした斬新ミステリー
- ハラハラドキドキの心理戦
- 先が読めないアッと驚くストーリー
誘拐事件を題材とした斬新なミステリー作品です。
ある日ネットに出現した謎の誘拐サイトで、6人のホームレスが誘拐されたことが告げられます。
やがて、マスコミ機関に対して犯人から身代金が要求されますが、誘拐されたホームレスとは縁もゆかりもない彼らは、要求に応じる意思を見せません。しかし、事態は次第に世間を巻き込む大きな問題へと発展していくのでした。
警察、メディア、犯人のそれぞれの思惑が複雑に絡み合いながら進むストーリーは圧巻。三者の息詰まる心理戦はハラハラドキドキの連続です。
様々な視点から物語が進むのがポイント。犯人の視点が描かれた後半で、物語は一気に加速していきます。最後に笑うのは誰なのか、先が読めないアッと驚くストーリーで、最初から最後まで目が離せません。
影法師
- 2人の武士の友情を描く時代小説
- 涙があふれてくる
- 2人の生き様がかっこいい
2人の武士の友情を描く感動の時代小説。
貧しい下士の生まれから筆頭国家老にまで出世した勘一のもとに、かつての幼なじみ・彦四郎の訃報が届きます。
剣技と知力に長け将来を嘱望された彦四郎。なぜ彼は死んでしまったのでしょうか。勘一がその真相を追う中で見えてきたのは、武士としての崇高な生き様でした。
勘一が彦四郎の生き様を紐解いていくにつれ、涙があふれてくる一冊です。時代に翻弄された2人の数奇な運命がとても切ないです。
2人が生き生きと描かれているのがポイント。2人の友情が美しく、生き様がかっこいいです。
カエルの楽園
- 今の日本を痛烈に皮肉った異色の小説
- 理想論に洗脳された国民が混乱に陥っていく展開が見所
- 国のあるべき姿を考えるいいきっかけとなる
カエルの世界を通じて、今の日本を痛烈に皮肉った異色の小説。
凶悪なダルマガエルの群れに襲われ祖国を追われた2匹のアマガエルは、辛い道程を経てツチガエルの国『ナパージュ』にたどり着きます。
ナパージュは、『三戒』と呼ばれる独自の戒律が守られた国で、『三戒』のおかげで、争いごとのない平和な日常を享受していました。
しかし、凶暴なウシガエルの襲撃を受けたことで、ナパージュの真の姿が次第に明らかになっていきます。
理想論に洗脳された国民が襲撃を機に、混乱に陥っていく展開が見所。次第にカエルの本性が見えてくる様は、人間にも通じる部分がありリアリティがあって面白いです。
ユーモアたっぷりに描かれたカエルの世界は、現代日本が直面している現状に痛烈なメッセージを発しています。国のあるべき姿を考えるいいきっかけとなる一冊です。
プリズム
- 解離性同一性障害を持つ男性との恋の物語
- 恋する主人公の姿があまりに切ない
- 解離性同一性障害への理解が深まり、興味深い
解離性同一性障害を持つ男性との恋の物語。
聡子は、家庭教師の仕事で訪れた邸宅の庭で青年に話しかけられます。ある日は紳士的な彼は、日が変われば攻撃的になっており、また日が変われば女たらしで馴れ馴れしく話しかけてきます。
激しく変化する青年の姿に困惑する聡子でしたが、次第に彼に惹かれていきます。しかし、青年は複数の人格を持つ解離性同一性障害であることを聡子に告白するのでした。
青年の1つの人格に恋をする聡子があまりに切なく、胸が張り裂けそうになります。恋に悩む聡子の葛藤が繊細に描かれているため、どんどん物語に引き込まれていきます。
解離性同一性障害の症状や発生した経緯などが実態に沿って細かく描かれているのがポイント。分かりやすい文章で、読み進めるにつれて病気についての理解が深まっていくので、とても興味深いです。
錨を上げよ
- 激動の昭和を荒々しく生きた男の物語
- 起伏に富んだストーリーで面白い
- 昭和の空気感に浸れる
激動の昭和を荒々しく生きた男の物語。
主人公は、昭和30年に大坂の下町で生まれた作田又三。喧嘩っ早く他人とぶつかり合ってばかりの又三は、様々な問題ごとに巻き込まれる毎日。
しかし、まっすぐで芯の通った又三は、苦境にめげずに時代を駆け抜けていきます。
延べ1000ページを優に超える超大作。起伏に富んだストーリーで、波瀾万丈な又三の人生が描かれているため、飽きずに楽しく読むことが出来ます。ハラハラする修羅場やほのぼのする恋愛など、どの展開もとても面白いです。
戦後から成長を遂げていく日本の姿や学生運動など昭和という時代を色濃く反映したストーリーで、とてもリアリティがあります。昭和の空気感に浸れるオススメの一冊です。
夢を売る男
- 出版業界の裏側を皮肉とユーモアで描いた作品
- 主人公の牛河原のキャラが立っているのが良い
- 徐々に、牛河原の人間性に惹かれていく
本の出版を夢見る人たちをそそのかし巧みに取り込み、高額な出版費用を出させて利ざやを稼ぐ自費出版という独自のビジネスを推し進める出版社の敏腕編集長・牛河原の物語です。
苦境で苦しむ出版業界の裏側を、皮肉をこめつつ、ユーモラスに描いた本作。軽妙な語り口でテンポよくストーリーが展開されるため、とても楽しい気持ちで読み進めることが出来ます。出版業界を皮肉りつつも、熱いメッセージが込められており、アクセントが効いていてとても良いです。
主人公の牛河原のキャラが立っているのがポイント。牛河原によって、様々な人物の内なる虚栄心がくすぐられ、人間の欲がむき出しになっていく展開がとても面白いです。
人間の欲につけ込む姿に、序盤こそ多少の嫌悪感はありますが、牛河原の人心掌握術・巧みなビジネストーク・確たる矜持を見せつけられるうちに、牛河原の人間性に惹かれていきます。
おすすめ小説10選 作品一覧
百田尚樹の新刊 / 新作最新情報をチェックしてみよう
橋下徹の研究
発売日:2022/12/15 電子書籍:〇 文庫本:×
人間の業
発売日:2022/8/18 電子書籍:〇 文庫本:〇
- 様々なニュースを著者が斬新な視点からぶった切る
- 間抜けな人やどうしようもない人の事件がまとめられている
- 事件の本質を捉えて簡潔に著書の考えが述べられている
著者が週に一回メルマガで発行している「ニュースに一言」の原稿をまとめた第4弾。
2021年から2022年にかけての様々なニュースを、著者が斬新な視点からぶった切っています。
テーマは「人間の業」。ここでは「頭ではだめだと理解していても、理性で制御できないこと」つまり「わかっちゃいるけどやめられない」ことを「人間の業」と呼ぶとのこと。
テーマの通り、間抜けな人やどうしようもない人が引き起こしたちょっとおかしな事件が中心にまとめられています。事件の本質を捉えて簡潔に著書の考えが述べられているため、楽しい気持ちでスラスラと読めてしまいます。
百田尚樹の作品を読んでみよう
百田尚樹のおすすめ小説をランキング形式で紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
今回は代表作から最新作まで厳選して紹介しましたが、他にも多くの人気作品があります。
電子書籍化や文庫本化されている作品も多いので、気軽に面白いと思った一冊を手に取り、読んでみてはいかがでしょうか。お気に入りの作品がきっと見つかるはずですよ。
この記事を書いた人
東京都文京区在住のけんぞうです。
本が大好きで、自分が読んで面白かった本などを中心にWEB編集者として様々な情報を発信しています。
ぜひ、本の出品をお待ちしております。