特集有川浩(有川ひろ)のおすすめ小説8選 ワクワクするエンターテインメント作品を幅広く紹介します
超人気シリーズ「図書館戦争」シリーズに代表されるSF色の濃い恋愛小説から、ありふれた日常を舞台にした人間ドラマまで幅広い作品を手掛け、高い評価を受けている大人気作家・有川浩。
有川浩作品といえば、エンターテインメント性の高さから多くの媒体で映像化されることでも有名です。
今回は、有川浩の作品をまだ読んだことがない初心者の方向けに、独自におすすめの小説を厳選しランキング形式でまとめてみました。
どれも人気の作品でとても面白いので、ぜひ読んでみて下さい。
『有川浩(有川ひろ)』 とは
経歴や受賞歴
有川浩は1972年高知県出身の女性小説家です。園田学園女子大学を卒業後、2003年に『塩の街 wish on my precious』で第10回電撃ゲーム小説大賞を受賞し、2004年に小説家としてデビューしました。
2006年に4作目として手掛けた「図書館戦争」シリーズが大ヒットを記録したことがきっかけで、徐々に世間の注目を集めるようになります。
その後も、「フリーター、家を買う」や「阪急電車」などテレビドラマ化や映画化される作品を多く手掛けており、大人気作家としての地位を確立しています。
なお、2019年2月、ペンネームの表記を有川 浩から有川 ひろへ改めることを発表しています。
作品の特徴や魅力
有川浩作品の魅力の一つといえば、エンターテインメント性の高い斬新な世界観です。あらすじを読んだだけで「読んでみたい!」と思わせる力があります。また、キャラクターも魅力的で、ワクワクしながら読める作品が多いです。
おすすめ小説 8選
図書館戦争 図書館戦争シリーズ①
- 大人気シリーズの第1作目
- 次から次へと起こる事件がどれも面白い
- 魅力的な登場人物のやり取りが面白い
図書館戦争シリーズの第1作目。映画、漫画、ドラマといった各メディアで映像化された超人気シリーズです。
舞台は2019年の架空の日本。メディア良化法という法律が定められ、書籍や雑誌がメディア良化委員会によって公序良俗を乱すと判断された場合には本屋から検閲される世界。メディア良化委員会の過剰な検閲に対抗し、本の自由を守るべく、図書館は図書隊という武装組織を発足します。
メディア良化委員会と図書隊との抗争が激しくなる中、とある少女・笠原郁は1人の図書隊員に憧れて、図書隊に入隊することを決意します。
物語は、郁を中心に据え、図書の検閲を巡っての良化委員会と図書館隊の抗争と、郁の恋愛模様の2つの軸が展開されます。様々な事件が起こりますが、そのどれもが面白いです。次は何が起こるのかワクワクして本を読む手が止まらないです。
また、登場人物1人1人がとても丁寧に描かれているのが印象的です。それぞれに個性があり、魅力的です。そして、その登場人物のやり取りが面白くて、読んでいて思わずクスっと笑ってしまいます。ぜひ読んでみて下さい。
阪急電車
- 偶然乗り合わせた乗客が織り成す人間模様を描いた温かい作品
- 短編集のため、読みやすい
- 意外な点と点が繋がっていて面白い
実在する路線である阪急今津線の宝塚 - 西宮北口間の8つの駅を舞台に、偶然乗り合わせた乗客が織り成す様々な人間模様を、1往復に当たる全16話で描いた連作短編小説集です。
偶然乗り合わせただけで決して交わるはずがなかった乗客の人生が、ふとしたきっかけで交差し、その後の人生の大きな転換点となっていきます。
1つ1つのエピソードが短く、コンパクトにまとまっているのでとても読みやすい作品です。文章も平易で、話もテンポよく進むため心地良い気分で読み進めることが出来ます。それぞれのエピソードが意外な所で繋がっている所もとても面白いです。
また、章ごとに中心人物が移り変わっていくので、各章が新鮮で、飽きることなく最後まで楽しく読めます。人物の心の機微が丁寧に描かれているので、感情移入出来る点もポイントが高いです。
どのエピソードもどこか温かな空気に包まれており、自然と笑顔になれる優しい一冊です。ぜひ読んでみて下さい。
塩の街
- 有川浩のデビュー作であるSFラブストーリー
- 体が塩になるという設定が斬新で面白い
- 2人の恋模様が甘酸っぱくて素敵
有川浩のデビュー作であり、第10回電撃ゲーム小説大賞を受賞したSFラブストーリー。
ある日、突如として降り注いだ謎の結晶によって、体が塩になる「塩害」という病気が世界を浸食し、多くの人が死んでいきます。そんな中、両親を塩化で亡くした女子高生・真奈と空軍パイロット・秋庭のもとに、「世界とか、救ってみたくない?」とそそのかす「ある人」が現れたことで、運命は大きく動き出します。
人々が塩化していくという設定が斬新で面白いです。フィクション的な側面は強いですが、塩化で死んでいく人々の恐怖・残された人々の苦しみが生々しく描かれておりリアリティがあるため、小説の世界観に自然と入ることが出来ます。
塩化により窮地に陥った世界を救う展開も見所の一つですが、本筋は秋庭と真奈の恋物語であるのがポイント。寄り添いあい生きていく不器用な2人の恋模様が甘酸っぱくて微笑ましいです。また、危機的な状況の中でも、他人を思いやり励ましあう姿が印象的で心がほっこりします。
「世界が終わる瞬間まで、人々は恋をしていた」というキャッチフレーズ通りの作品。本編終了後を描いた番外編も面白く、読み応え十分の一冊です。
植物図鑑
- 山菜料理が2人を結びつける恋愛小説
- 山菜料理が美味しそうで作ってみたくなる
- 主人公が成長していく姿が美しい
山菜料理が2人を結びつける恋愛小説。映画化もされたベストセラー小説です。
飲み会の帰り道、自宅前の植え込みにイケメンが倒れているのを発見した主人公のさやかは、思わず声をかけ、自宅に招き入れます。そこから、始まる2人の奇妙な同棲生活。イケメン・イツキは植物の知識が豊富で、各季節の旬の野草や山菜を用いたおいしい料理を振舞ってくれます。そのため、休日には2人で散歩をして野草をとるのが日課になった2人ですが、次第にお互いに惹かれあっていきます。
物語は2人が出会ってからの同棲生活を四季の移ろいと共に描いております。旬の野草や山菜により、季節の移ろいを感じ取れるのがとても素敵です。また、タイトルの通り、植物の様々な知識が詰まっている点もとても特徴的で面白いです。料理のレシピも記載されているので、作ってみたくなります。
野草取りの散歩に出かけ、そこで色々な発見や体験をして、徐々に愛情が深まっていく2人の心情がとても繊細に描かれているため、微笑ましい気持ちになります。
また、さやかが自分の弱さと向き合い成長していく過程が描かれている点もポイント。作品全体を包む、暖かい空気感が心地良いおすすめのラブストーリーです。
フリーター、家を買う。
- 家族の再生や主人公の成長をテーマにした長編小説
- 主人公が成長していく過程が美しい
- 自分も頑張ろうと勇気を貰える
家族の再生や主人公の成長をテーマにした長編小説。二宮和也主演でテレビドラマ化されたことでも有名な作品です。
新卒で入社した会社を3か月で辞めて自堕落なフリーター生活を送っていた主人公・武誠治が母親のうつ病をきっかけに、自分自身を見つめ直し、一念発起して仕事探しから母親の世話まで奔走する物語です。
誠治が成長していく過程がとても素敵です。前半は、実家でゲーム三昧の誠治にイライラしますが、改心して、まっとうな社会人として自立しようと苦闘する誠治の姿は感動的で、「頑張れ!」と心から応援している自分がいます。自分も頑張ろうと多くの勇気を貰える一冊です。
また、誠治の恋愛模様や父親の態度の変化といった一面も描かれており、展開に広がりがあるため、飽きずに最後まで楽しく読めます。場面の移り変わりも、とても軽快なため、スラスラと読めてしまいます。
うつ病・近隣住民のいやがらせ・家族の崩壊など扱っている話題はどれも重たいですが、登場人物が終始明るく前向きなため、晴れやかな気持ちで読める作品です。
三匹のおっさん
- 3人のおっさんが近所の悪を斬る痛快劇シリーズの第1作目
- それぞれ得意分野を持つ3人のおっさんがカッコイイ
- 軽い文体で、コミカル調のため、読みやすい
3人のおっさんが近所の悪を斬る痛快劇シリーズの第1作目。シリーズでテレビドラマ化されている大人気の作品です。
剣道の達人のキヨ、武闘派の柔道家のシゲ、機械が得意な頭脳派のノリ。還暦を迎えても、若者にはまだまだ負けてられないという気概を持つ”三匹のおっさん”が主役の物語です。3人が私設自警団を結成し、町内の悪党を懲らしめていきます。
作品は各話完結の全6話の短編から構成されています。おっさん3人がそれぞれの得意分野を存分に発揮し、悪を懲らしめる展開が面白いです。3人のキャラクターがとても魅力的に描かれており、それぞれに見せ場があるので、どの話も展開がワンパターンではなく、飽きずに楽しく読むことが出来ます。
また、サブストーリー的に、彼らの孫や娘の恋愛模様も描かれており、良いアクセントとして機能しています。テンポよく場面が展開していくため、次はどんな展開なのかワクワクが止まりません。彼らの熱い友人関係や温かい家族愛も描かれており、とても満足度が高い作品です。
話によっては、少し重めの事件を取り扱っていますが、軽い文体で、コミカル調に綴られているため、とても読みやすい一冊です。
キケン
- 理系男子のハチャメチャな学生生活を描いた青春物語
- 登場人物のキャラクターが魅力的
- 笑いあり、ドキドキあり、涙あり
ごく普通の工科大学である成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」(通称・キケン)を舞台に、理系男子たちの破天荒でハチャメチャな学生生活を描いた青春物語です。
物語は、部員の一人が妻に過去の学生時代の思い出話をする形式で、過去と現在を行き来しながら進んでいきます。回顧録として綴られる学生時代のエピソードが、現在の話にも繋がっており、構成力の高さを感じる作品です。学生時代の各エピソードは章立てで区切られて描かれているため、とても読みやすく、各章の冒頭には、漫画が挿入されているため、文章を映像としてイメージしやすいです。
とにかく、キャラクターが濃く魅力的な理系男子が全力で毎日を生きる姿が微笑ましい作品です。青春を謳歌している登場人物の姿に触れ、懐かしく羨ましい気持ちになります。
また、テンポの良いリズムで、場面が小気味よく移り変わっていくため、最初から最後まで楽しく一気に読める作品です。笑いあり、ドキドキあり、涙ありと内容の濃い満足度の高い一冊です。ぜひ、作品を読んで眩しい青春時代を追体験してみてください。
クジラの彼
- 自衛隊員の恋愛を描いた6つの短編小説集
- どの話も甘酸っぱく胸がキュンキュンする
- 厳しい戒律の中で日々精進する自衛隊員がカッコイイ
自衛隊員の恋愛を描いた6つの短編小説集。
表題作『クジラの彼』は、海上自衛隊員であるイケメン男子と普通の会社員である女子の恋愛を描いた物語。
潜水艦をクジラと呼んだことがきっかけで、付き合うことになった二人。しかし、潜水艦に乗って世界中の海を航海している彼氏とは会うどころか連絡も滅多に取れません。果たして、二人の恋の行方はどうなってしまうのでしょうか。
陸・海・空の自衛隊員の恋愛をテーマにした本作は、どの話も甘酸っぱく胸がキュンキュンします。
国防という重責を担い、厳しい戒律の中で日々精進する自衛隊員がとにかくカッコイイです。自衛隊という斬新な切り口から描かれたオススメの恋愛小説です。
おすすめ小説8選 作品一覧
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物語の種
発売日:2023/5/24 電子書籍:× 文庫本:×
- 募集したキーワードをもとに著者がストーリーを肉付けした短編集
- 登場人物の温かい触れ合いやテンポの良い会話が良い
- 宝塚を題材とした物語が多い
物語の種となるキーワードを募集し、そこから選ばれたキーワードに著者が肉付けして物語にするという企画のもと生み出された10編からなる短編集。
著者ならではの斬新な切り口から描かれた物語ばかりで、短編集でありながらとても読みごたえがあります。
コロナ禍で人と人との繋がりが希薄になりがちな現代だからこそ、登場人物の温かい触れ合いやテンポの良い会話がとても心地よく感じます。
宝塚を題材とした物語が多いのがポイント。宝塚に興味がある人はもちろん、今まで興味がなかった人も一度宝塚を見てみたいという衝動に駆られる一冊です。
みとりねこ
発売日:2021/8/11 電子書籍:× 文庫本:×
- 猫を題材とした7話が収められた短編集
- 人間目線のみならず猫目線の作品もあるのが良い
- 著者の猫へと愛情がひしひしと伝わってくる
猫を題材とした7話が収められた短編集。ほんわかした話からちょっと切ない話まで様々な趣向の物語が詰まっています。
「シュレーディンガーの猫」はある夫婦を描いた物語。妻が出産のため里帰りしたタイミングで、子猫を拾ってきた漫画家の夫。父親としての自覚がない夫でしたが、猫の世話を通じて、子供の育児にも次第に積極的になっていきます。
人間目線のみならず、猫目線の作品もあるのが印象的です。猫が人間を見る目が妙に大人びててとても面白いです。
著者の猫へと愛情がひしひしと伝わってくる作品です。猫がとても愛おしくなり、心が温まります。
有川浩の作品を読んでみよう
有川浩のおすすめ小説をランキング形式で紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
今回は代表作から最新作まで幅広く紹介しましたが、他にも多くの人気作品があります。
電子書籍化や文庫本化されている作品も多いので、気軽に面白いと思った一冊を手に取り、読んでみてはいかがでしょうか。お気に入りの作品がきっと見つかるはずですよ。
この記事を書いた人
東京都文京区在住のけんぞうです。
本が大好きで、自分が読んで面白かった本などを中心にWEB編集者として様々な情報を発信しています。
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