特集辻村深月のおすすめ小説8選 様々なジャンルの傑作を幅広く紹介します
ミステリー、青春、SFなど幅広いジャンルの小説を執筆し、数多くのヒット作を生み出している作家・辻村深月。
『かがみの孤城』『ツナグ』など映画やドラマ化された作品もとても多いです。
そこで今回は、辻村深月の作品をまだ読んだことがない初心者の方向けに、独自におすすめの小説を厳選しランキング形式でまとめてみました。
どれも人気の作品でとても面白いので、ぜひ読んでみて下さい。
『辻村深月』 とは
経歴や受賞歴
辻村深月は、1980年山梨県出身の小説家です。千葉大学教学部を卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し小説家としてデビューします。
その後、2011年に『ツナグ』が吉川英治文学新人賞を受賞し、翌年の2012年には『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞しています。
近年も活躍は目覚ましく、2018年には『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞しています。
作品の特徴や魅力
辻村深月作品は多感で揺れ動く若者の心理描写が繊細に描かれているのが魅力的です。
それがくどくなくわかりやすい文章で表現されているため、状況や感情がスッと頭に入ってくる心地良さがあります。
また、ストーリー展開が巧みで次に何が起きるのかワクワクしながら読み進めることが出来る作品がとても多いです。
おすすめ小説 8選
かがみの孤城
- 本屋大賞を受賞した辻村深月の代表作
- 不登校の少年少女が戦う姿が美しい
- 構成力の高さを感じるストーリー展開
2018年の本屋大賞を受賞した辻村深月を代表する作品です。累計発行部数は200万部を突破し大ベストセラーを記録しています。
いじめが原因で学校を不登校になり、家にひきこもる日々を送る中学1年生のこころ。ある日、自室の鏡が光り、吸い込まれていったこころはその先で城のような不思議な建物を目にします。
そして、そこにはこころと境遇の似た7人が集められており・・・。
不登校の少年少女を軸に物語は進んでいきます。様々な悩みを抱えながらも懸命に戦う子供たちの姿に涙があふれてきます。
構成力の高さを感じるストーリー展開がポイント。伏線も綺麗に回収されるため、満足度が非常に高い作品です。
ツナグ
- 生者と死者との再会を描く感動小説
- 綺麗に伏線が回収されるストーリー構成
- 終始温かい気持ちでスラスラと読める
生者と死者との再会を描く感動小説。吉川英治文学新人賞を受賞したベストセラー作品です。
一生に一度だけ死者との再会を叶えてくれる使者(ツナグ)。今日も様々な依頼人が使者のもとを訪れます。彼らはいったい何を伝えたいのでしょうか。
本作は依頼人視点で描かれた4作品と使者視点で描かれた1作品が収められた連作短編集です。死者との再会が依頼人にとって必ずしも救いとならない点が物語にリアリティを添え、とても心に残る作品となっています。
綺麗に伏線が回収されるストーリー構成がポイント。終始温かい気持ちでスラスラと読めるオススメの一冊です。
凍りのくじら
- 物語の随所に『ドラえもん』が絡む不思議な物語
- 不穏な空気を漂わせながら展開していくストーリー
- 読みやすい文章でテンポよく話が展開していく
ドラえもん好きとして知られる辻村深月の少し不思議な物語。吉川英治文学新人賞候補作にもなった人気の作品です。
藤子・F・不二雄を心酔する父親は失踪、闘病中の母親とは折り合いが悪い高校生の理帆子は、ある日、先輩の別所あきらから写真のモデルになって欲しいと頼まれます。
周囲の人間を見下す少しひねくれものの理帆子は、あきらの優しさに触れ少しずつ変わっていきますが、元彼の存在により事態はあらぬ方向へと進んでいきます。
高校生の少女・理帆子が人との触れ合いを通じて少しずつ変わっていく様をとても丁寧に描いた作品。各章のタイトルはドラえもんのひみつ道具から採っており、物語でも随所にドラえもんが絡んできます。
どこか不穏な空気を漂わせながら展開していくストーリーがとにかく面白いです。読みやすい文章でテンポよく話が展開していくため一気に読めるオススメの一冊です。
冷たい校舎の時は止まる
- 辻村深月のデビュー作である青春ミステリー
- 死んだ同級生の謎が解けていく展開が面白い
- 青春・ミステリーにホラー要素も併せ持っている
辻村深月のデビュー作である青春ミステリー。
雪が降る中、いつも通り登校した8人の高校生が校舎に閉じ込められてしまいます。凍りつく校舎の中、彼らは2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出します。しかし、なぜかその同級生の顔と名前が思い出せないのでした。
死んだ同級生は誰なのかというミステリーを軸に、生徒一人一人の内面が深堀されていきます。それぞれが抱える悩みや苦悩が明らかになる過程で、謎が少しずつ解けていく展開が見事です。
青春、ミステリーにホラー要素も併せ持っているのがポイント。徐々に怖くなっていく展開から目が離せない読み応え十分の一冊です。
スロウハイツの神様
- 夢を追う若者たちを巡る青春ミステリー
- 魅力的な登場人物が織りなす人間ドラマが面白い
- 伏線回収が見事で驚きと感動がある
同じアパートで暮らす夢を追う若者たちを巡る青春ミステリーです。
人気作家チヨダ・コーキが、自身の作品を模した殺人事件により筆を置いてから10年。コーキは、新人脚本家・赤羽環に誘われ、彼女がオーナーを務める「スロウ・ハイツ」でクリエーターを志す狩野たちと暮らし始めていました。
入居者たちは好きなことに没頭し互いに刺激し合う良好な関係性にありましたが、空室だった201号室に新たな住人がやってきたことで状況は一変していきます。
上下巻から成る本作。上巻で登場人物一人一人の人物像が丁寧に描かれた後、下巻にかけて物語は一気に動いていきます。
魅力的な登場人物が織りなす人間ドラマがとにかく面白いです。心理描写も繊細で物語に徐々に引き込まれていきます。
また、伏線回収が見事で、驚きと大きな感動があります。とても完成度が高い作品で、読んでいて心地良い一冊です。
傲慢と善良
- 結婚・婚活をテーマとした作品
- 結婚目前で揺れ動く男女の心情が繊細に描かれている
- ミステリー的な謎が解けていく展開が面白い
結婚・婚活をテーマとした作品。
婚約者の坂庭真実が挙式を控えたある日、突然姿を消してしまいます。ストーカー被害に合ったのか、それとも自らの意思で去ったのか。真実を必死で探す西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになります。
本作は1部を真美を探す架の視点、2部を真美の視点で描く2部構成となっています。結婚を前にして揺れ動く二人の心情が繊細に描かれていて物語に引き込まれていきます。
また、ミステリー的な一面も併せ持ち、次第に謎が解けていく展開がとても面白いです。様々な登場人物の考え方に触れ、共感しながら読み進めることが出来るオススメの一冊です。
ぼくのメジャースプーン
- 犯人に復讐する小学生の物語
- 犯人に立ち向かっていく主人公の姿が感動的
- 罪と罰について考えさせられる作品
日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門にノミネートされた長編小説。
ある日、小学4年生の「ぼく」が通う学校で飼われていたウサギが侵入者の手で惨殺されてしまいます。ウサギを誰よりもかわいがっていた「ぼく」の幼馴染「ふみちゃん」はショックのあまり心を固く閉ざしてしまいます。
彼女のため、ぼくは自らの特殊能力を使い犯人に復讐することを誓うのでした。
物語はぼくの心の葛藤を中心に進んでいきます。ふみちゃんのため、犯人に立ち向かっていくぼくの姿がとても感動的です。
心を閉ざしてしまったふみちゃんはどうなってしまうのかがポイント。罪と罰についてとても考えさせられる示唆に富むオススメの一冊です。
鍵のない夢を見る
- 普通の女性が転落していく様を描く短編集
- 狂気が徐々に膨らんでいく展開が恐ろしい
- 鋭い心理描写がとてつもない緊張感を生んでいる
普通の女性がふと魔がさして転落していく様を描いた5編からなる短編集。2012年の直木受賞作であり、テレビドラマ化もされた人気の作品です。
窃盗や盗難といった犯罪に普通の女性がふとしたきっかけで巻き込まれていきます。
女性の心理の奥底に眠る狂気が徐々に膨らんでいく展開がとても恐ろしい作品です。鋭い心理描写がとてつもない緊張感を生んでおり、次第に物語に引き込まれていきます。
異常者ではなくありふれた女性を主人公にしているのがポイント。決して他人事ではなく自分の身にも起こるのではないかというリアリティに満ちたオススメの一冊です。
おすすめ小説8選 作品一覧
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この夏の星を見る
発売日:2023/6/30 電子書籍:〇 文庫本:×
- コロナ禍で制限された生活を送る中高生の青春物語
- 中高生の一生懸命な姿が胸を打つ
- 学生の成長が丁寧に描かれている
コロナ禍で制限された生活を送る中高生の青春を描いた作品です。
コロナ禍で部活動が次々と制限され、楽しみにしていた行事も中止になる中、オンライン上で繋がった全国の中高生たちが「スターキャッチコンテスト」という望遠鏡で星を捕まえる競技を開催します。
様々な複雑な思いを抱えながらも自分たちが出来ることを必死で考え、精一杯取り組む学生の姿がとても美しく描かれた作品です。彼らを見守る大人たちも温かみがあり思わず涙があふれてきます。
オンライン上での交流を通じて、学生の成長が丁寧に描かれているのがポイント。学生と共に一喜一憂しながら読み進めることが出来るオススメの一冊です。
辻村深月の作品を読んでみよう
辻村深月のおすすめ小説をランキング形式で紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
今回は代表作から最新作まで幅広く紹介しましたが、他にも多くの人気作品があります。
電子書籍化や文庫本化されている作品も多いので、気軽に面白いと思った一冊を手に取り、読んでみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
東京都文京区在住のけんぞうです。
本が大好きで、自分が読んで面白かった本などを中心にWEB編集者として様々な情報を発信しています。
ぜひ、本の出品をお待ちしております。