特集堂場瞬一のおすすめ小説11選 警察小説とスポーツ小説の名手の作品を幅広く紹介します
警察小説とスポーツ小説を筆頭に、数多くのヒット作を生み出している作家・堂場瞬一。
『アナザーフェイス』シリーズや『ラストライン』シリーズなどドラマ化された作品もとても多いです。
そこで今回は、堂場瞬一の作品をまだ読んだことがない初心者の方向けに、独自におすすめの小説を厳選しランキング形式でまとめてみました。
どれも人気の作品でとても面白いので、ぜひ読んでみて下さい。
『堂場瞬一』 とは
経歴や受賞歴
堂場瞬一は、1963年茨城県出身の小説家です。青山学院大学国際政治経済学部を卒業後、読売新聞東京本社に入社し、同社在籍中の2000年に『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞し、小説家としてデビューします。
その後、2015年『警察回りの夏』が第36回吉川英治文学新人賞候補となっています。
作品の特徴や魅力
堂場瞬一作品は警察小説とスポーツ小説が多く、シリーズ化されている作品も多いです。
警察小説は、テンポよく進むスピード感が魅力で、物語も綺麗にまとまっているため読後の満足度が非常に高いです。
またスポーツ小説は、多彩な心理描写と情景描写が圧倒的な臨場感を生み出しており、物語の世界に一気に没入していく点が魅力です。
おすすめ小説 11選
雪虫 刑事・鳴沢了
- 『鳴沢了シリーズ』の第1作目となる警察小説
- 主人公・鳴沢了と新米刑事・大西海のコンビが良い
- 手に汗握る展開の連続で読み応え十分
大人気『鳴沢了シリーズ』の第1作目となる警察小説。
主人公は祖父、父も刑事の刑事一家に生まれた新潟県警捜査一課の刑事・鳴沢了。ある日、温泉町で一人暮らしの老婆の刺殺体が発見され、鳴沢は捜査を開始します。
やがて、鳴沢は今回の事件と50年前にある新興宗教で起きた事件との繋がりを突き止めますが・・・。
鳴沢了と新米刑事の大西海のコンビが良いです。融通が効かない頑固者の鳴沢と、人は良いが刑事としては使い物にならない大西。未熟な二人が事件を追う中で様々な人とかかわり、徐々に成長していく様が丁寧に描かれていて面白いです。
また、地道な聞き込み調査で少しずつ犯人の手がかりを集め、徐々に犯人を追い込んでいく展開にとてもワクワクします。特に終盤は、手に汗握る展開の連続で読み応え十分です。
チーム
- 学連選抜にスポットライトを当てた箱根駅伝の物語
- 寄せ集めの集団が一つのチームになっていく過程が美しい
- 情景描写が素晴らしく選手と共に走っているかのような臨場感がある
学連選抜にスポットライトを当てた箱根駅伝の物語です。
箱根駅伝出場を逃した大学から選抜された選手で構成される『学連選抜』。一度限りの寄せ集めのチームが箱根駅伝を走る意義はどこにあるのか。
選手たちは様々な葛藤を胸に抱きながら大会に挑みます。
選手たちの多彩な心理描写とレースを通して成長していく過程がとても魅力的な作品です。寄せ集めの集団が一つのチームになっていく過程が美しく心を打たれます。
また、情景描写が素晴らしく、選手と共に走っているかのような臨場感があり、どんどん物語に没入していきます。続編『ヒート』と併せて読むのがおすすめの一冊です。
大延長
- 甲子園の決勝を舞台にした熱い青春物語
- 各人物の視点から甲子園決勝にかける熱い思いが丁寧に描かれている
- 様々な感情に揺さぶられながら辿り着くラストは必見
『高校野球小説の最高傑作』と銘打たれた1冊。甲子園の決勝を舞台にした熱い青春物語です。
夏の甲子園決勝、初出場の公立校・新潟海浜と常連の強豪校・私立恒正学園の対戦は延長15回でも勝敗が決せず、勝負は翌日の再試合に持ち越されます。
大学時代のバッテリーであった両校の監督。リトルリーグのチームメイトであった海浜のエースと恒正の4番。それぞれの思惑が複雑に絡み合った大激闘はいったいどんな結末を迎えるのでしょうか。
再試合の経過を追いつつ、選手・監督・学校関係者等の様々な人間ドラマが絶妙に絡みながら物語は進んでいきます。各人物の視点から甲子園決勝にかける熱い思いが丁寧に描かれているため、どの人物にも自然と感情移入してしまいます。
見所は何と言っても試合の決着の行方。徐々に加速していく物語は、手に汗握る展開の連続です。様々な感情に揺さぶられながら辿り着くラストをぜひ堪能してください。
ラストダンス
- 2人のプロ野球選手の引退ドラマを描いた感動の野球小説
- 野球の魅力が存分に詰まった一冊
- 圧倒的な臨場感を伴いながら加速していく展開が面白い
2人のプロ野球選手の引退ドラマを描いた感動の野球小説。
プロ野球チーム「スターズ」の同期、真田誠と樋口孝明。キャッチャーの樋口はドラフト2位でプロ入りしたものの一軍に定着できなかったのに対しピッチャーの樋口はドラフト5位ながら華々しいスター街道を歩み、まさに2人は光と影。
そんな2人も40歳を過ぎ、いよいよ引退を決意したラストシーズンが訪れます。優勝の行方がシーズン終盤までもつれる中、入団以来一度しかバッテリーを組んだことの無かった2人に17年ぶりにバッテリーを組む日が到来します。
野球の魅力が存分に詰まった一冊。精緻な心理描写で、1球1球の配球の組み立て方やバッターとの駆け引きが描かれているためとても面白いです。
対照的な2人の野球人生が再び交差するとき何が起きるのかがなんと言っても見所。圧倒的な臨場感を伴いながら加速していく展開にページを捲る手が止まらなくなります。
アナザーフェイス
- 『アナザーフェイスシリーズ』の第1作目となる警察小説
- 従来の刑事像と一線を画する主人公の人柄が新鮮で面白い
- 真相に向かって一直線に進んでいくストーリーが心地良い
『アナザーフェイスシリーズ』の第1作目となる警察小説。2012年に仲村トオル主演でテレビドラマ化もされた人気の作品です。
主人公は警視庁刑事総務課に務める大友鉄。妻に交通事故で先立たれ、小学2年生の息子と二人暮らしの大友は、育児と仕事を両立するため在籍していた捜査一課からの異動を志願し2年が経過しています。
そんな折、とある銀行員の息子が誘拐され、銀行に1億円の身代金が要求される事件が発生。大友の元上司・福原は大友のとある能力を活かすべく特捜本部に大友を強引に投入するのでした。
誰に対しても優しく温厚な大友の人柄は、どこか堅苦しいイメージがある従来の刑事像と一線を画しており、その斬新さが新鮮で面白いです。家庭と仕事の事情に板挟みになりながら事件を追っていく大友の姿に共感して、大友を応援しながら読み進めることが出来ます。
ストーリーとしては、比較的横道に逸れたりせず真相に向かって一直線に進んでいくため、中だるみせず、スラスラと読める作品です。魅力的な登場人物も多く、台詞回しもとてもセンスがあるため、最初から最後まで楽しめる一冊です。
ミス・ジャッジ
- メジャーリーグを舞台に投手と審判の因縁の対決を描いた野球小説
- 主人公を取り巻く脇役が生き生きと描かれていて面白い
- 投手・橘の心理描写がとても繊細に描かれているのがポイント
メジャーリーグを舞台に投手と審判の因縁の対決を描いた野球小説。
日本のプロ野球で活躍した後、海を渡りメジャーリーガーとなった投手の橘。怪我で選手生命を絶たれた後、日本人初のメジャーリーグ審判となった竹本。
過去に因縁を持つ二人の人生は、メジャーリーグの舞台で再び交差しますが、勝負所で橘が投じた渾身の一球に竹本が下した<ボール判定>は大きな波紋を呼ぶことになります。
橘のメジャーリーグでの日々を軸に、二人の因縁や過去が上手く絡みながら物語は進んでいきます。チームを引っ張るエース・劇場型の監督・通訳・元スチュワーデスの妻など橘を取り巻く脇役が生き生きと描かれており、物語に彩りを添えています。
投手・橘の心理描写がとても繊細に描かれているのがポイント。少しの心の乱れがプレーの質に大きな影響を与える様が丁寧に描かれており、野球の面白さと難しさを痛感する一冊です。
ラストライン
- アナザーフェイス・シリーズに代わる新たな警察小説シリーズの第1作目
- 小さな証拠を集めながら着実に真相に向かって突き進んでいく展開が爽快
- 主人公・岩倉が新米女刑事・彩香を指導しながら捜査を進める過程が面白い
アナザーフェイス・シリーズに代わる新たな警察小説として刊行されたシリーズの第1作目。2020年にはテレビドラマ化もされています。
主人公は、定年まであと10年のベテラン刑事・岩倉。捜査一課から所轄の南大田署に異動した岩倉は、独居老人が殺された事件の捜査に新米女刑事・伊東彩香と共に加わります。
驚異的な記憶能力を持つ岩倉は、地道な捜査の末、過去のある企業収賄事件との関連性に辿り着くのでした。
物語は、岩倉が一つ一つ小さな証拠を集めながら、着実に真相に向かって突き進んでいきます。派手さはありませんが、地に足がついた粘り強い捜査はリアリティがあり、次第に物語に没入していきます。
彩香とのコンビも見所の一つです。岩倉が彩香を指導しながら捜査を進める過程が面白いです。シリーズものなので、彩香が今後どう成長していくのかとても楽しみです。
小さき王たち 第三部:激流
- 親子孫の三世代に渡る政治と報道の因縁を描く三部作の完結編
- 意外な方向へと進んでいく物語から目が離せない
- 50年にも及ぶ因縁にどんな終止符が打たれるのかが見所
親子孫の三世代に渡る政治と報道の因縁を描く三部作の完結編。
政治家・田岡総司と新聞記者・高樹治郎。幼馴染の2人の対決は孫の代まで受け継がれていきます。
舞台は、コロナ禍にある2021年の新潟。総司のマスコミ支配は進み、政治家の不祥事を新聞は追及しない社会が形成されていました。この状況を看過できない治郎は東日新聞新潟支局の新入社員である孫の健介を利用します。
総司の息子で衆議院議員となった稔の選挙不正を暴き、落選の糸口を見いだそうとしたのでした。
しかし、テレビ局の記者となった総司の孫・愛海の存在が事態を大きく動かしてくのでした。
1作目で総司と治郎の因縁、2作目で子供同士の因縁を描き、3作目となる本作では因縁は孫に引き継がれていきます。
なんと言っても、50年にも及ぶ両家の因縁にどんな終止符が打たれるのかが見所。意外な方向へと進んでいく物語から目が離せません。
ボーダーズ
- 特殊能力を持つスペシャリスト集団の活躍を描く警察小説
- 一つの事件から別の事件へと次々と繋がっていくのが魅力的
- 特殊能力を持つ5人のメンバーが個性的に描かれているのがポイント
特殊能力を持つスペシャリスト集団の活躍を描く警察小説。新シリーズの1作目となる作品です。
警視庁特殊捜査班SCUは、部の垣根を超えて様々な事件の捜査に当たる組織で、特殊能力を持つ5人から構成されています。
ある日、東京新橋で銀行立て籠り事件が発生、男性客が刺殺されてしまいます。被害者・藤岡の調査を命じられたSCUのメンバー・八神はやがて、藤岡が40年前の過激派デモで警察官を殺害し指名手配されていたことに行きつくのでした・・・。
一つの事件から別の事件へと次々と繋がっていくのが魅力的な作品です。テンポよく物語が展開していくため、楽しい気持ちでスラスラと読めてしまいます。
特殊能力を持つ5人のメンバーが個性的に描かれているのがポイント。各自の能力を活かしながら複雑な事件を解決していく展開がとても心地良い一冊です。
誤ちの絆 警視庁総合支援課
- 加害者家族支援という独特な角度から描かれた警察小説
- 事件の真相を追う展開より各人物の内面や過去を深堀する点に主眼を置いた作品
- 主人公・晶が時に怒られながら難しい業務に奮闘する姿に好感が持てる
被害者の心のケアに奔走する『警視庁犯罪被害者支援課』シリーズに次ぐ新たなシリーズ。
被害者とその家族だけでなく、加害者家族も支援の対象として新設された「総合支援課」。都内の名門校で生徒同士の殺人事件が発生し、捜査一課から総合支援課に異動してきた柿谷晶は、職務に当たります。
手探り状態で加害者家族の支援と向き合う晶。実は、彼女自身が加害者家族であるという秘密を抱えていたのでした。
加害者家族支援という独特な角度から描かれた警察小説。事件の真相を追う展開よりは、各人物の内面や過去を深堀する点に主眼が置かれている作品です。
猪突猛進でとにかく突っ走るタイプの晶の人柄がポイント。時に怒られながら、難しい業務に奮闘する姿に好感が持てるため、応援しながら読み進めることが出来ます。
不可能な過去 警視庁追跡捜査係
- 対照的な2人の刑事が未解決事件を追う『警視庁追跡捜査係』シリーズの最新作
- 無関係に見えた事件が繋がり徐々に真実が浮かび上がってくる展開が面白い
- 行動派の沖田と知性派の西川の息の合ったコンビが見所
対照的な性格の2人の刑事が未解決事件を追う『警視庁追跡捜査係』シリーズの11作目となる最新作。
10年前の殺人事件の裁判で無罪を勝ち取った被告から、当時の担当刑事宛に「あの事件の犯人は、本当は私でした」と告白する手紙が届きます。相談を受けた追跡捜査係の沖田は手紙の真偽を確認するため調査を開始します。
一方、神奈川県警に新設される追跡捜査班のアドバイザーとして招かれた西川は、4年前に起きた未解決の殺人事件に関して、気になる点を発見します。
無関係に見えた事件が繋がっていき、徐々に真実が浮かび上がってくる展開がとても面白いです。点と点の繋ぎ方に違和感や矛盾点がなく理にかなっているため、読み応え十分です。
行動派の沖田と知性派の西川の息の合ったコンビが見所。対照的な性格ながら、お互いに一目置いている信頼関係がとても格好良くしびれます。
おすすめ小説11選 作品一覧
堂場瞬一の新刊 / 新作最新情報をチェックしてみよう
最後の光 警視庁総合支援課2
発売日:2023/8/10 電子書籍:〇 文庫本:〇
- 被害者や加害者家族の心のケアに奔走する『総合支援課』シリーズの第2弾
- 難しい仕事で疲弊していく主人公・晶を支える脇役の存在感がとても良い
- 終始重い内容が続くものの停滞感のないストーリーに引き込まれていく
被害者や加害者家族の心のケアに奔走する『総合支援課』シリーズの第2弾。
幼い男の子の命が奪われ、母親・夏海の交際相手が逮捕されます。母子は日常的な暴力に苦しんでいました。
支援課・柿谷晶は夏海の支えとなり得る人物を探そうとしますが、夏海は子どもの実の父親について頑なに口をつぐむのでした。
中々、心を開かない夏海に振り回されながらも、関係者に聞き込みを行う過程で様々な事実が明らかになっていく展開が面白いです。
難しい仕事で疲弊していく晶を支える後輩の香奈江や弁護士の神岡の存在がとても良い。終始重い内容が続きますが、停滞感のないストーリーに引き込まれていく一冊です。
鷹の惑い
発売日:2023/7/26 電子書籍:〇 文庫本:×
- 『日本の警察』シリーズの平成編第2弾
- 事件がどんどんつながっていく展開が面白い
- 心地よいスピード感で様々な起伏を見せるストーリーがポイント
『日本の警察』シリーズの平成編第2弾。
30年近く逃亡していた指名手配犯を仙台で確保。しかし、身柄を東京へ移送する新幹線車内で公安一課の海老沢は、大きなミスを犯してしまいます。
一方、捜査一課の高峰は都内の空き家で発見された元代議士秘書の遺体の捜査を担当。やがて、被害者の経歴に不自然な点が浮かび上がってきます。
更に、海老沢に極秘の特命が下ったことで、2つの事件は不穏な方向へと向かっていくのでした・・・。
物語は2つの事件が並行的に描かれながら進んでいきます。2つの事件の繋がりが徐々に見え始め、そこから更に新たな事件へとどんどんつながっていく展開がとても面白いです。
心地よいスピード感で様々な起伏を見せるストーリーがポイント。広がっていくストーリーも収まりが良いラストを迎えるため、満足度の高い一冊です。
堂場瞬一の作品を読んでみよう
堂場瞬一のおすすめ小説をランキング形式で紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
今回は代表作から最新作まで幅広く紹介しましたが、他にも多くの人気作品があります。
電子書籍化や文庫本化されている作品も多いので、気軽に面白いと思った一冊を手に取り読んでみてはいかがでしょうか。
シリーズものが多いので、気になったシリーズを順番に読んでみるのがおすすめです。
この記事を書いた人
東京都文京区在住のけんぞうです。
本が大好きで、自分が読んで面白かった本などを中心にWEB編集者として様々な情報を発信しています。
ぜひ、本の出品をお待ちしております。