特集村上春樹のおすすめ小説10選 世界中で愛される代表作から最新作まで幅広く紹介
世界的に高い評価を得ている日本を代表する作家の一人・村上春樹。
毎年、ノーベル文学賞の候補に名前が挙がることでも有名です。
そこで今回は、村上春樹の作品をまだ読んだことがない初心者の方向けに、独自におすすめの小説を厳選しランキング形式でまとめてみました。
どれも人気の作品でとても面白いので、ぜひ読んでみて下さい。
『村上春樹』 とは
経歴や受賞歴
村上春樹は、1949年京都府出身の小説家です。早稲田大学を卒業後、1979年『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞し小説家としてデビューします。
その後、1987年発表の『ノルウェイの森』が世界中で大ヒットを記録し、村上春樹ブームが起こります。
他にも、『羊をめぐる冒険』、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、『ねじまき鳥クロニクル』など数多くの作品を世に送り出し、世界中で高い評価を得ています。
作品の特徴や魅力
村上春樹作品は夢と現実を行き来するような不思議な世界観が魅力です。
独特な比喩に代表される巧みな文章表現で、一気に小説の世界観に引き込まれていきます。
また、唯一無二のストーリー展開がとにかく面白く、読み手の好奇心をそそられます。
おすすめ小説 10選
ノルウェイの森
- 国内累計発行部数1000万部を突破した大ベストセラー作品
- 悲しい人間模様が不思議な空気感を生み出している
- 美しい文章で読みやすい村上春樹を代表する一冊
国内累計発行部数1000万部を突破した大ベストセラー作品。海外での人気も高く、映画化もされています。
ハンブルク空港に到着した飛行機のスピーカーから流れてきたビートルズの「ノルウェイの森」。それを聴いた37歳のワタナベは学生時代の事を思い出し、激しく動揺するのでした。
物語は、ワタナベが学生時代を辿る形で進んでいきます。登場人物は皆どこか暗い一面を持っており、彼らが織りなす人間模様が悲しく不思議な空気感を生み出しています。
ワタナベが死を身近に感じながらも強く生きて行く姿がポイント。美しい文章でとても読みやすい村上春樹を代表する一冊です。
海辺のカフカ
- 世界的に高い評価を得ている一冊
- 夢の中にいるような不思議な世界観が魅力
- 村上ワールド全開で特に初心者の方にオススメ
英語版が「ニューヨーク・タイムズ」紙で年間の「ベストブック10冊」および「世界幻想文学大賞」に選出された世界的に評価が高い一冊。日本では2度も舞台化されています。
15歳の誕生日を迎えた僕、田村カフカは父親にかけられた呪いから逃れるために家出をします。辿り着いた先は、遠く離れた四国にある小さな図書館。そこでの不思議な日々が、カフカ少年を大きく成長させていきます。
物語は、「僕」の一人称から描かれるカフカ少年の話と「ナカタさん」の三人称から描かれる知的障害がある老人の話が交互に切り替わりながら進んでいきます。
夢の中にいるような不思議な世界観、独特な比喩表現、個性的な登場人物など多くの魅力が詰まった一冊。村上ワールド全開で特に初心者の方にオススメです。
女のいない男たち
- アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞した短編集
- 女性に去られ喪失感を抱く男性がテーマの物語
- 喪失感の中にユーモアや希望が描かれているのがポイント
2022年にアカデミー賞の国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』を含む6作が収められた短編集。
『ドライブ・マイ・カー』は妻を亡くした俳優の物語。緑内障で運転を止められた俳優の家福は、知人から紹介された若い女性をドライバーとして雇います。
ある日、その女性から「友達は作らないのか?」と聞かれた家福は、最後に作った友達について語り出します。その男は、死んだ妻と性的な関係がありました。
どの物語も、女性に去られ喪失感を抱く男性がテーマとなっています。男性の心理描写を細かく描きながら、物語は比較的淡々と進んでいきます。
喪失感の中にも、ユーモアや希望が描かれているのがポイント。独特な余韻を残すラストが印象的な作品です。
風の歌を聴け
- 群像新人賞を受賞した村上春樹のデビュー作
- 淡々と繰り広げられる日常の中に青春の甘酸っぱさを感じる作品
- 癖がなく読みやすいため初心者の方にオススメ
群像新人賞を受賞した村上春樹のデビュー作。鼠三部作の一作目です。
1970年の夏、東京の大学に通う「僕」は夏季休暇で故郷の港町に帰省していました。友人の「鼠」とバーでビールを飲む毎日。
ある日、バーの洗面所に倒れていた小指のない女性を介抱し親しくなります。
物語は、1978年に29歳になった僕が1970年の8月8日から26日までの18日間の出来事を辿る形で進んでいきます。
淡々と繰り広げられる日常の中に、青春の甘酸っぱさを感じる作品。癖がなく読みやすいため、初心者の方にオススメです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
- 谷崎潤一郎賞を受賞した村上春樹の4作目となる長編小説
- 世界観が全く異なる2つの物語が同時進行で進む
- 2つの物語の関係性が徐々に浮かび上がってくる展開が見所
谷崎潤一郎賞を受賞した村上春樹の4作目となる長編小説。
「壁」に囲まれた平和で穏やかな街で「夢読み」として働くことになった僕が、「影」ともに街の謎に迫っていく「世界の終わり」と
「計算士」の私が、脳に細工された「装置」の謎を追い求める「ハードボイルドワンダーランド」の2つの物語が交互に描かれながら進行する作品です。
世界観が全く異なる2つの物語の関係性が徐々に浮かび上がってくる展開が見所。世界観・登場人物・ストーリー展開など多くの魅力が詰まった一冊です。
羊をめぐる冒険
- 「鼠三部作」の完結編となる大ベストセラー小説
- 前二作に比してミステリー要素が非常に強い一冊
- 場面が目まぐるしく移り変わっていく冒険ストーリーが見所
「鼠三部作」の完結編となる長編小説。野間文芸新人賞を受賞した大ベストセラー作品です。
親友の「鼠」が北海道から送ってきた写真。そこには一匹の羊が紛れ込んできました。
右翼の大物から羊を探し出すよう要求された「僕」は、ガールフレンド共に北海道に渡ります。
『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』に次ぐシリーズの完結となる作品。前二作に比してミステリー要素が非常に強くなっています。
場面が目まぐるしく移り変わっていく冒険ストーリーが見所。村上春樹らしい現実と幻想を行き来する心地よさも味わえる一冊です。
スプートニクの恋人
- 不思議な世界観に包まれた恋愛小説
- 孤独や喪失感といった物悲しさを終始感じる作品
- センスの良い比喩表現など美しい文章が魅力的
1999年に刊行された村上春樹の長編小説。不思議な世界観に包まれた恋愛小説です。
大学時代の後輩「すみれ」に片思いをしている小学校教師の「僕」。しかし、すみれは17歳年上の既婚女性「ミュウ」に恋をしてしまいます。
ある時、ギリシャの小さな島へ渡ったすみれとミュウ。そこで、すみれが謎の失踪を遂げてしまいます。しばらくしてミュウから電話が入った「僕」はギリシャへ向かうのでした。
ぼくとすみれとミュウの3人を軸に展開していく物語。孤独や喪失感といった物悲しさを終始感じる作品です。
センスの良い比喩表現など美しい文章がとても魅力的な一冊。多彩な情景描写で一瞬で小説の世界観に引き込まれていきます。
ねじまき鳥クロニクル
- 読売文学賞を受賞した全三部から成る長編小説
- 個性的な登場人物が複雑に絡み合いながら進む物語
- 戦争の悲惨さが生々しく描かれているのがポイント
読売文学賞を受賞した全三部から成る長編小説。
法律事務所を辞めた主人公・僕は妻・クミコと世田谷の一軒家で平穏に暮らしていましたが、飼い猫がいなくなったことをきっかけに、二人の生活は徐々に崩れていきます。
猫を探す道中での不思議な出会い、そして妻の失踪。やがて物語はノモンハン事件の凄惨な体験記へと繋がっていきます。
個性的な登場人物が複雑に絡み合いながら進む物語。様々な軸の話が入り乱れるため全く先が読めない面白さがあります。
戦争の悲惨さが生々しく描かれているのがポイント。長編でありながら最初から最後まで飽きがこない読み応え十分の作品です。
騎士団長殺し
- 初版部数が全2巻合わせて130万部を超えた大ベストセラー小説
- ミステリアスで不穏な空気感に包まれながら進む物語
- 次第に色濃くなっていくファンタジーの世界観が見所
初版部数が全2巻合わせて130万部を超えた大ベストセラー小説。
妻から離婚を突き付けられた画家の「私」は自宅を離れ、友人の父親である日本画家がアトリエとしていた別荘に住むことになります。
やがて、アトリエの屋根裏で「騎士団長殺し」という絵を発見したことを機に、私の周囲で奇妙な出来事が起こり始めます。
ミステリアスで不穏な空気感に包まれながら物語は進んでいきます。不思議で個性的な登場人物が交錯していく展開がとても面白いです。
次第に色濃くなっていくファンタジーの世界観が見所。思わぬ方向へ進んでいく物語から目が離せません。
神の子どもたちはみな踊る
- 阪神・淡路大震災をテーマにした6つの物語が収められた短編集
- 不穏な空気感の中に僅かな希望が描かれているのがポイント
- 切り口が異なる6つの物語はどれも読みごたえ十分
阪神・淡路大震災をテーマにした6つの物語が収められた短編集。
『かえるくん、東京を救う』は、蛙が東京を地震から救う物語。中年サラリーマン・片桐がアパートの部屋に戻ると、巨大な蛙が待っています。聞けば、東京を地震から救うためにやってきたとのこと。
地震を阻止するため、地下に潜む「みみずくん」と闘うことを頼まれた片桐。果たして、二人に待ち受ける運命とは・・・。
阪神・淡路大震災後を描いた6つの物語。登場人物はみな、震災の直接の被災者ではないものの、間接的に何かしらの影響を震災から受けている点で共通しています。
震災という重いテーマを扱い、終始不穏な空気感が作品全体を覆っているものの、僅かな希望がしっかりと描かれている点がポイント。切り口が異なる6つの物語は、どれも読みごたえ十分です。
おすすめ小説10選 作品一覧
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街とその不確かな壁
発売日:2023/4/13 電子書籍:〇 文庫本:×
- 2023年に刊行された6年ぶりとなる最新長編小説
- 現実の世界と幻想の世界を行き来しながら進む物語
- 独特なメタファーが多く含まれているのがポイント
2023年に刊行された6年ぶりとなる最新長編小説。
10代の頃に初恋の相手が突然いなくなり、喪失感を抱えたまま大人になった主人公の「ぼく」。かつて彼女は「ここにいる私は影で、本物の私は高い壁の中にある街にいる」と語っていました。
やがて、ふとしたきっかけでぼくは、壁の中の街へと迷い込んでいきます。
現実の世界と幻想の世界を行き来しながら進む物語。美しい文章でテンポよく展開していくため、自然と不思議な世界観に引き込まれていきます。
独特なメタファーが多く含まれているのがポイント。心地よくスラスラと読めるオススメの一冊です。
村上春樹の作品を読んでみよう
村上春樹のおすすめ小説をランキング形式で紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
今回は代表作から最新作まで幅広く紹介しましたが、他にも多くの人気作品があります。
電子書籍化や文庫本化されている作品も多いので、気軽に面白いと思った一冊を手に取り、読んでみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
東京都文京区在住のけんぞうです。
本が大好きで、自分が読んで面白かった本などを中心にWEB編集者として様々な情報を発信しています。
ぜひ、本の出品をお待ちしております。