特集中山七理のおすすめ小説8選 斬新な切り口のミステリーを幅広く紹介します
どんでん返しや大仕掛けを得意とし、数多くのヒット作を生み出しているミステリー作家・中山七理。
『刑事犬養隼人シリーズ』や『ヒポクラテスシリーズ』『岬洋介シリーズ』などドラマ化された作品もとても多いです。
そこで今回は、中山七理の作品をまだ読んだことがない初心者の方向けに、独自におすすめの小説を厳選しランキング形式でまとめてみました。
どれも人気の作品でとても面白いので、ぜひ読んでみて下さい。
『中山七理』 とは
経歴や受賞歴
中山七理は、1961年岐阜県出身の小説家です。2009年に『さよならドビュッシー』で第8回このミステリーがすごい!大賞を受賞し、48歳で小説家としてデビューしました。
併せて「災厄の季節」(のちに『連続殺人鬼カエル男』として刊行)も同賞初のダブルノミネートしたことでも大きな話題となりました。
その後も、『護られなかった者たちへ』『作家刑事毒島』など、さまざまな作品が映画化・ドラマ化されています。
作品の特徴や魅力
中山七理作品は斬新な切り口で描かれるミステリーが魅力的です。
現代の医療問題をテーマにした作品や解剖医の視点から犯人に迫る作品など作品の幅が非常に広いです。
また、ストーリー展開も非常に秀逸で、最後の最後まで結末が予測できない緊迫感溢れる展開がとても面白いです。
おすすめ小説 8選
さよならドビュッシー
- 中山七里のデビュー作である音楽ミステリー小説
- 多彩な音楽表現に圧倒される一冊
- どんでん返しに驚かされる
中山七里のデビュー作である音楽ミステリー小説。このミステリーがすごい!大賞を受賞した中山七里の代表作の一つです。
火事で祖父と従姉妹を亡くし、自身も全身に大火傷をおった女子高校生の遥。しかし、遥はその逆境をものともせず、自らの夢であるピアニストになるため、ピアノのレッスンを重ねコンクール優勝を目指します。
ところが、彼女の周囲で不吉な出来事が次々と起こり、ついに殺人事件まで発生してしまいます。
多彩な音楽表現に圧倒される一冊。演奏のシーンでは、実際に音楽が聴こえてくるかのような圧倒的な臨場感に鳥肌が立ちっぱなしです。
また、ミステリーとしてもとても上質です。終盤に待ち受けるどんでん返しには驚かされること間違いなしです。音楽ミステリーという斬新な作品をぜひ堪能してください。
切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人
- 猟奇殺人犯を追う警察医療ミステリー
- 犯人にじわじわと迫っていくテンポが良い展開が良い
- ラストは必見
猟奇殺人犯を追う警察医療ミステリー。刑事犬養隼人シリーズの第1作目となる作品です。
臓器がごっそりくり抜かれた若い女性の遺体が発見され、その後、ジャックを名乗る人物からマスコミに犯行声明が届きます。ほどなくして、若い女性が同様の手口で殺される第2の事件が発生します。
犯人の目的は一体何なのか。警視庁捜査一課の犬養が捜査に乗り出します。
脳死・臓器移植といった複雑な医療テーマに触れながら展開していく医療ミステリーです。様々な人物が登場しながら、犯人にじわじわと迫っていくテンポが良い展開がとても心地良いです。
また、非常に構成力の高さを感じる作品です。とても美しい形で物語はラストを迎えるため、清々しい読後感があります。
連続殺人鬼 カエル男
- 猟奇的な連続殺人事件を新米刑事が追うサイコサスペンス
- テンポよく二転三転していくストーリーが魅力的
- 構成力が高く最初から最後まで緊迫感に溢れている
猟奇的な連続殺人事件を新米刑事が追っていくサイコサスペンス。『このミステリーがすごい!』に『さよならドビュッシー』とともにダブルエントリーされた傑作です。
マンションの13階からぶら下げられた女性の全裸死体とその傍らに置かれた子供が書いたような稚拙な犯行声明文。それが近隣住民を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の凶行だったのです。
警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに陥ります。果たして、無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男とは一体何者なのでしょうか。
テンポよく二転三転していくストーリーが、とても魅力的な作品。まさかのどんでん返しに最後の最後まで気が抜けません。
また、とても構成力の高さを感じる作品で、ストーリー展開に無理や矛盾点がないため、最初から最後まで緊迫感に溢れています。結末も満足度が高く、読み応え十分の一冊です。
ヒポクラテスの悔恨
- 法医学ミステリー「ヒポクラテス」シリーズの第4弾
- 解剖から浮かび上がってくる真実がどれも興味深い
- 光崎教授の過去が描かれているのがポイント
解剖を通じて死者の声なき声を聞く法医学ミステリー「ヒポクラテス」シリーズの第4弾です。
解剖学の権威・光崎教授に宛てた犯行予告。それは、自然死にしか見えない方法で人を一人殺すとの内容でした。
早速、遺体の調査に乗り出した古手川刑事と助教の栂野。やがて、光崎の解剖により衝撃の真実が明らかになっていきます。
5編の短編集から成る本作。どの話も遺体を解剖するという流れは同じでありながら、解剖から浮かび上がってくる真実がどれも興味深く全く飽きがきません。
本作では、光崎教授の過去が描かれているのがポイント。殺人予告と光崎教授の過去が絶妙に絡み合ってとても面白いです。
護られなかった者たちへ
- 社会福祉の在り方を問う社会派ヒューマンミステリー小説
- 社会制度の歪みが生み出す狂気が生々しく描かれている
- 徐々に被害者二人の繋がりや意外な真実が浮かび上がってくるのがポイント
日本の社会福祉の在り方を問う社会派ヒューマンミステリー小説。2021年には映画化もされた非常に人気のある作品です。
仙台市の保健福祉事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見されます。
警察は三雲の人間関係を洗いますが、人格者であった三雲が誰かの恨みを買うとは考えづらく、捜査は行き詰まりを見せ始めます。
その後、県議会議員の城之内の餓死死体が発見されます。城之内も三雲同様人格者として知られていました。果たして、二人を結びつけるものとは何なのでしょうか。
日本の現行制度の歪みが生み出した狂気が生々しく描かれており、決してフィクションとは思えないリアリティに圧倒されます。困窮者を社会全体としてどう救済していくべきかとても考えさせられます。
徐々に被害者二人の繋がりや意外な真実が浮かび上がってくるのがポイント。テンポよく進む物語にいつの間にか引き込まれていること間違いなしです。
アポロンの嘲笑
- 東日本大震災と原発事故を題材としたサスペンスミステリー
- 重苦しい展開の中に人の温もりが鮮明に描かれているのがポイント
- 丁寧な心理描写で登場人物一人一人に感情移入出来る
東日本大震災と原発事故を題材としたサスペンスミステリー。
東日本大震災直後、原発の現場作業員であった加瀬は親しくしていた同僚を殺害した罪で逮捕される。なぜ彼は殺人の罪を犯したのか。
大人しく警察署への移送に応じる加瀬であったが、余震の混乱に乗じて逃走を図る。やがて、加瀬がある場所へと向かっていることが判明。そこには驚きの真実が隠されていた。
物語は、加瀬の恵まれない苦しい生い立ちと原発作業員の悲痛な現実を描きながら、事件の真相と逃亡の目的に迫っていきます。少しずつ真実が明らかになっていく展開がとても面白いです。
終始、重苦しい展開の中に人の温もりが鮮明に描かれているのがポイント。丁寧な心理描写で登場人物一人一人に感情移入しながら読めるオススメの一冊です。
能面検事
- 感情を表に出さない検事と新米事務官の活躍を描くミステリー小説
- 組織の圧力に屈せず自らの捜査を進める不破検事が格好良い
- 感情を表に出さない不破検事と新米事務官の対比が面白い
全く感情を表に出さない検事と、その検事についた新米事務官の活躍を描くミステリー小説。
どんな状況下でも表情を崩さず、陰で能面と揶揄されている大阪地検一級検事の不破俊太郎。新米検察事務官の惣領美晴と共に捜査を進める不破は、鋭い着眼点から容疑者のアリバイを立証し、警察の冤罪を見抜きます。
更には、捜査資料の一部が紛失していることが発覚。次第に事態は大阪府警全体を揺るがす大きなスキャンダルへと発展していきます。
組織の圧力をものともせず、自らの捜査を進め事件解決に突き進んでいく不破がとてもかっこいいです。ストーリーもテンポよく進んでいくため、どんどん引き込まれていきます。
感情を表に出さない不破と、感情を露わにする美晴の対比がとても面白いのがポイント。不破に振り回されながらも必死についていく美晴がとても微笑ましいです。
作家刑事毒島
- 毒舌の兼業作家・毒島の活躍を描く異色のミステリー
- 出版業界を舞台とした殺人事件を毒島が解決していく短編集
- 出版業界の興味深い裏事情も知れて読みどころ満載
毒舌の兼業作家・毒島の活躍を描くコメディテイストの異色ミステリー。『毒島刑事シリーズ』の第1作目であり、テレビドラマ化もされた人気の作品です。
捜査一課の刑事・高千穂明日香は殺人事件の手助けを求め、作家の傍ら刑事技能指導員としての一面を持つ毒島のもとを訪れます。
容疑者はどの事件も癖のある人物ばかり。そんな彼らを相手に強烈な毒舌を吐きながら毒島が犯人を追い詰めていきます。
本作は、出版業界を舞台とした殺人事件を毒島が解決していく短編集となっております。毒舌を吐き、相手を苛立たせながら、犯人にじわじわと迫っていく展開がとても面白いです。
毒島を筆頭に癖のある人物ばかりなのがポイント。出版業界の興味深い裏事情なども知れて読みどころ満載の一冊です。
おすすめ小説8選 作品一覧
中山七理の新刊 / 新作最新情報をチェックしてみよう
有罪、とAIは告げた
発売日:2024/2/14 電子書籍:× 文庫本:×
- 人間としての倫理と本質を問う法廷ミステリー
東京地方裁判所の新人裁判官・高遠寺円は、日々の業務に忙殺されていた。公判、証人尋問、証拠や鑑定書の読み込み、判例等の抽出、判決文作成と徹夜が続く。
東京高裁総括判事の寺脇に呼び出された円は、ある任務を命じられる。中国から提供された「AI裁判官」を検証するというものだ。〈法神2〉と名付けられたその筐体に過去の裁判記録を入力する。果たして、〈法神〉が一瞬で作成した判決文は、裁判官が苦労して書き上げたものと遜色なく、判決もまた、全く同じものだった。業務の目覚ましい効率化は、全国の裁判官の福音となった。しかし円は〈法神〉の導入に懐疑的だった。周囲が絶賛すればするほどAI裁判官に対する警戒心が増す。
そんなある日、円は18歳少年が父親を刺殺した事件を担当することになる。年齢、犯行様態から判断の難しい裁判が予想された。裁判長の檜葉は、公判前に〈法神〉にシミュレートさせるという。データを入力し、出力された判決は――「死刑」。ついに、その審理が始まる。
罪は、数値化できるのか。裁判官の英知と経験はデータ化できるのか。連載、即緊急出版! 目前に迫るあり得る未来に、人間としての倫理と本質を問う法廷ミステリー。
中山七理の作品を読んでみよう
中山七理のおすすめ小説をランキング形式で紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
今回は代表作から最新作まで幅広く紹介しましたが、他にも多くの人気作品があります。
電子書籍化や文庫本化されている作品も多いので、気軽に面白いと思った一冊を手に取り、読んでみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
東京都文京区在住のけんぞうです。
本が大好きで、自分が読んで面白かった本などを中心にWEB編集者として様々な情報を発信しています。
ぜひ、本の出品をお待ちしております。