特集米澤穂信のおすすめ小説8選 今大注目のミステリー作家の傑作を幅広く紹介します
直木賞を始め数多くの賞を受賞した今大注目のミステリー作家・米澤穂信。
『小市民シリーズ』や『古典部シリーズ』など数多くの人気作があり、ドラマやアニメ化された作品も多いです。
そこで今回は、米澤穂信の作品をまだ読んだことがない初心者の方向けに、独自におすすめの小説を厳選しランキング形式でまとめてみました。
どれも人気の作品でとても面白いので、ぜひ読んでみて下さい。
『米澤穂信』 とは
経歴や受賞歴
米澤穂信は、1978年岐阜県出身の小説家です。金沢大学文学部を卒業後、2001年に『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞して小説家としてデビューします。
2014年に刊行した『満願』は、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」の国内部門1位で史上初のミステリ・ランキング3冠に輝くとともに、山本周五郎賞を受賞し大ヒットを記録します。
2021年には『黒牢城』で山田風太郎賞、翌年同作で直木賞を受賞しています。
作品の特徴や魅力
米澤穂信作品はミステリーを中心に意外性のあるストーリー展開が魅力的です。
先が読めてきたと思ったとたん思わぬ方向へと進んでいく上、展開に無理や矛盾がないため、物語に引き込まれていきます。
また、洗練された筆致が見事で人物描写や情景描写が卓越しているため、自然と文章から映像が浮かび上がってきます。
おすすめ小説 8選
氷菓
- 大人気青春ミステリ「古典部シリーズ」の第1作目
- 少ない情報で淡々と謎を解いていく主人公が格好良い
- 個性的な学生たちの人間関係も見所
「古典部シリーズ」の第1作目である、米澤穂信のデビュー作。テレビアニメ化や漫画化もされた大変人気のある作品です。
省エネ主義が信条の高校1年生・折木奉太郎は、姉に命令されて古典部に入部することになります。さらに、そこで出会った同級生の千反田えるからの頼みがきっかけで、古典部の文集『氷菓』にまつわる33年前のある事件を追うことになります。
学園の日常に潜む何気ない謎を追っていくほのぼのミステリー。やる気がないながらも少ない情報で淡々と謎を解いていく奉太郎の姿がとても面白いです。
また、個性的な学生たちの関係性や奉太郎の心情の変化がとても丁寧かつ面白く描かれているため、ミステリー面はもちろん様々な見所がある一冊です。
儚い羊たちの祝宴
- 全5編からなる短編ミステリー集
- 人間の心に潜む薄汚い部分が生々しく描かれている
- 一行で雰囲気がガラッと変わる驚きの展開が見所
ある読書サークルを巡る5編からなる短編ミステリー集。
夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こります。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が起こるのでした。
終始不穏な空気感に包まれながら物語は進んでいきます。どの物語も人間の心に潜む薄汚い部分が生々しく描かれていて思わず鳥肌が立ちます。
一行で雰囲気がガラッと変わる驚きの展開が見所。意外な結末を迎える展開に最後までハラハラドキドキです。
黒牢城
- 史実を題材とした本格ミステリー
- 僅かな情報から見事に真相を見抜く黒田官兵衛が格好良い
- 巧みな構成が魅力的で面白い
史実を題材とした本格ミステリー。直木賞を始め数多くの賞を受賞した著者を代表する一冊です。
信長に謀反し有岡城に籠城する荒木村重は、城内で起きる様々な事件の対処に手を焼いてきました。そこで、織田方の智将・黒田官兵衛を城内の土牢に幽閉し、策を求めに行くことにします。
城内で起こる様々な謎を土牢に閉じ込められた官兵衛が解き明かしながら物語は進んでいきます。与えられた僅かな情報から見事に真相を見抜く官兵衛がとにかく格好良いです。
章立てで各章に謎が用意されているのに加え、人々の心情の移ろいや官兵衛の策略などは章を貫いて描かれており、巧みな構成がとても魅力的で面白いです。歴史が苦手な人にもオススメの一冊です。
本と鍵の季節
- 2人の男子高校生が様々な謎に挑む青春ミステリー
- 切れ者の2人が互いに推理を重ね謎を解いていく
- 章ごとに完結していて読みやすい
図書委員である2人の男子高校生が様々な謎に挑む青春ミステリー。全6編から成る連作短編集です。
高校二年の図書委員である堀川次郎と松倉詩門が利用者のほとんどいない放課後の図書室で当番を務めていたある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきます。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。
性格は異なるが切れ者の2人が互いに推理し謎を解き進めていく本作。探偵と助手ではなく対等な関係にある2人が意見をぶつけ合いながら補いあっている様がとても魅力的です。
章ごとに完結していて読みやすい点もポイント。伏線を見事に回収し、とても綺麗なラストを迎えるため読後には爽快感が残ります。シリーズ化しているため続編もおすすめです。
満願
- 全6編が収められたミステリー短編集
- 予想が出来ないストーリー展開が抜群に面白い
- 思わずぞっとする後味の悪いラストも魅力的
表題作を含む6編が収められたミステリー短編集。ミステリーランキング3冠に輝いたベストセラー小説です。
人を殺めた女が控訴を取り下げ一審の刑が確定。8年の歳月を経て刑期を終えた女が出所するが、やがて驚きの事実が浮かび上がってくる。・・・「満願」。
短編でありながらどの話も予想が出来ないストーリーが抜群に面白く読み応え十分の一冊です。
また、謎を一つずつ丁寧に回収しながら真相に向かっていく展開が見事で、気づけば作品の世界観に引き込まれています。思わずぞっとする後味の悪いラストもとても魅力的です。
春期限定いちごタルト事件
- 青春ミステリー「小市民シリーズ」の第1作目
- 日常のささやかな謎を解いていく短編集
- 一つ一つの謎が大きな謎へと発展していく展開が見事
青春ミステリー『小市民シリーズ』の第1作目に当たる作品です。
高校1年生となった小鳩くんと小佐内さんは、目立つことを避け慎ましい『小市民』を目指します。しかし、次から次へと奇妙な謎が現れ、謎を解く必要に迫られてしまうのでした。
本作は日常のささやかな謎を解いていく短編集となっています。優しい空気感が作品全体を覆う中、二人が自然と謎に巻き込まれていき解決する流れがとても魅力的な作品です。
また、一つ一つの謎が繋がり大きな謎へと発展していく展開がとても見事です。どんどん話が広がっていくため、最初から最後まで存分に楽しめる一冊です。
王とサーカス
- 報道の在り方を問う社会派ミステリー
- 実際に発生した王室の殺人事件を題材とした作品
- 序盤の違和感が読み進めるにつれ綺麗に解消されていく
報道の在り方を問う社会派ミステリー。『このミステリーがすごい! 2016年版』第1位を始め、数多くの賞で高く評価されたベストセラー作品です。
新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を頼まれ、事前調査のためネパールに降り立ちます。そこで、王族の殺害事件が勃発し取材を開始した太刀洗でしたが、
やがてジャーナリズムとは何かを考えさせられる複雑な事件へと巻き込まれていきます。
実際に発生した王室の殺人事件を題材とした作品です。単純なミステリーではなく、ネパールに根付く政治・貧困・麻薬といった様々な問題が複雑に絡み合っています。
様々な要素に触れながらも、見事にまとめ上げる構成力の高さがポイント。序盤の違和感も読み進めるにつれ綺麗に解消されていくため、読んでいてとても楽しい一冊です。
いまさら翼といわれても
- 大人気青春ミステリー『古典部シリーズ』の第6弾
- 全6編が収められたミステリー短編集
- 多感な高校生らしい悩みや葛藤が繊細に描かれているのがポイント
高校の古典部を舞台にした大人気の青春ミステリー『古典部シリーズ』の第6弾です。
夏休み初日、折木奉太郎にかかってきた〈古典部〉部員・伊原摩耶花からの電話。合唱祭の本番を前に、ソロパートを任されている千反田えるが姿を消したと言う。千反田は今、どんな思いでどこにいるのか――会場に駆けつけた奉太郎は推理を開始する。
表題作を含む全6編が収められたミステリー短編集です。ミステリーを軸にしながらも、古典部メンバーそれぞれの過去や内面に深く切り込んだ内容となっています。
多感な高校生らしい悩みや葛藤が繊細に描かれているのがポイント。登場人物同時の掛け合いもとても面白く読み応え十分の一冊です。
おすすめ小説8選 作品一覧
米澤穂信の新刊 / 新作最新情報をチェックしてみよう
可燃物
発売日:2023/7/25 電子書籍:〇 文庫本:×
- 警察を舞台にした本格ミステリー
- 卓越した捜査能力で事件を鮮やかに解決していく展開が面白い
- 事件解決までの過程が丁寧かつ矛盾点がない
警察を舞台にした本格ミステリー。群馬県警本部捜査第一課の葛警部が様々な事件を解決する全五編からなる短編集です。
住宅街で発生した連続放火事件。葛班も捜査に当たりますが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまいます。犯人の動機は一体何なのでしょうか。
行き詰まりを見せるかに思えた捜査でしたが、意外な事実が浮かび上がってきます。
葛警部が卓越した捜査能力を発揮し、事件を鮮やかに解決していく展開がとても面白い作品です。事件解決までの過程が丁寧かつ矛盾点なく描かれているため、非常に満足度が高いです。
また、次第に意外な方向へと進み始めるストーリーがとても魅力的です。短編でありながら濃厚なミステリーでオススメの一冊です。
栞と嘘の季節
発売日:2022/11/4 電子書籍:〇 文庫本:×
- ベストセラー『本と鍵の季節』の続編となる長編ミステリー
- ユーモアや皮肉たっぷりの主人公2人の掛け合いが魅力的
- 嘘に翻弄されながら確実に真実に迫っていく展開が面白い
ベストセラー『本と鍵の季節』の続編となる作品。連作短編だった前作に対し、本作は一つの事件を追う長編ミステリーとなっています。
高校二年の図書委員である堀川次郎と松倉詩門は、ある日の放課後、図書館の返却本の整理をしていると一冊の本に押し花の栞が挟まっていることにに気が付きます。その花が猛毒のトリカブトであることが分かり、持ち主を探す二人。
やがて、ある男性教師が中毒で緊急搬送され、毒を盛られたのではとの噂が校内に広がっていきます・・・。
対照的な二人の高校生が互いに推理を重ねながら謎を追う本シリーズ。ユーモアや皮肉を込めながら交わされる二人の掛け合いがとても魅力的です。
タイトルにあるように様々な『嘘』が含まれているのがポイント。嘘にミスリードされながらも、確実に真実に迫っていくハラハラドキドキの展開がとても面白いです。
米澤穂信の作品を読んでみよう
米澤穂信のおすすめ小説をランキング形式で紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
今回は代表作から最新作まで幅広く紹介しましたが、他にも多くの人気作品があります。
電子書籍化や文庫本化されている作品も多いので、気軽に面白いと思った一冊を手に取り、読んでみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
東京都文京区在住のけんぞうです。
本が大好きで、自分が読んで面白かった本などを中心にWEB編集者として様々な情報を発信しています。
ぜひ、本の出品をお待ちしております。